携帯電話キャリアによるシェア争いが激しいなか、NTTドコモが先月、2015年3月期第2四半期決算を発表した。そのなかで2014年度の営業利益予想を1200億円下方修正した。10月31日、都内で2015年3月期第2四半期決算発表会を行ない、2014年度の営業利益予想を7500億円から6300億円に下方修正した。この結果、同社は2期連続の減収減益となる。また、営業利益が7000億円を切るのは2001年度の米国会計基準導入以来はじめてで、携帯電話大手3社のなかで最低となる見込み。
NTTドコモがAppleの新型iPhone6/6plusの発売まえの6月に導入した新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」の契約者数を大きく伸ばしたが、一方でこの料金プランが売上を大きく下げた。「カケホーダイ&パケあえる」は、音声通話定額のドコモの新料金プラン。月額税別2700円で通話し放題というプランだ。この新料金プランは、サービス開始から、およそ4カ月で1000万契約を突破している。ビジネスなどで通話時間の長く、月2700円を超える加入者が大挙して契約を切り替え、たくさん通話するユーザーには好評だ。が、一方で同社の収益を大きく引き下げ、音声通話収入が前年同期に比べて542億円も減った。通期でも1200億円のマイナスが見込まれ、今回の発表につながった。
NTTドコモが下方修正をした要因は、新料金プランの影響と競争対抗上の端末価格引き下げによる収支影響があるという。特に影響が大きいのが、先の新料金プランで、同社の想定以上に好評のためARPU(携帯1台あたりの月額料金)が減少した。一方でデータパックSの契約が多く、パケットARPUも予想より伸びていない。NTTドコモ顧客の平均通話料金は1190円とされ、通話の少ない多くのユーザーにとって、この定額料金は値上げに繋がる。店頭では機種変更などで訪れた顧客に定額制を強制しており、顧客はそっぽを向いたということ。ドコモユーザーの流出が止まらないのだ。
これを受け2014年度通期の売上高も下方修正、当初は前期比2.9%増としていたが、1.4%減の4兆4400億円とした。3.3%増を見込んだ最終利益も9.6%減の4200億円に下方修正した。
対してKDDIが同日発表した2014年9月中間連結決算によると、光回線とのセット割引販売で携帯電話の収益を順調に伸ばし、上期として過去最高の営業利益3847億円(前年比10.7%)を達成した。携帯キャリア大手2社の明暗が大きく分かれた恰好となった。
KDDIは「通期で2期連続の2ケタ成長に向け、順調に進捗している」と決算を総括。増益に大きく貢献したのは、個人加入者からの通信料収入の増加だ。4~9月期の契約純増数は前年に比べて27万件減少した。が、ひとり当たりの月間平均収入も4280円と前年比1.4%増加した。個人加入者からの通信料収入は461億円増の3848億円と大きく伸びた。
9月の米「Apple iPhone6」導入で、KDDIからドコモへ流出する利用者の増加も想定された。が、結果的にドコモからKDDIへの乗り換えと差し引きで約10%の流出にとどまった。ドコモだけが実質的な顧客流失が止まらない。ソフトバンクが携帯事業に参入した2006年にはシェア55%だったNTTドコモの落日なのか。(編集担当:吉田恒)