日中は温かくても、日が暮れると寒くなり長袖や厚手の服が必要となる季節になった今でも、4月に実施された消費税増税による消費者の買い控えが自動車業界をなおも苦しめ続けている。この「消費税の影響」という言葉を使う時に筆者は、石を落としても一向に水面に着水する音の聞こえない、深い井戸のようなものを想起してしまう。まだなお日本経済は、その「消費税の影響」という深い井戸の底へと落ち続けている最中であるというわけだ。
日本自動車販売協会連合会(自販連)、そして全国軽自動車協会連合会(全軽自協)は4日、10月の国内新車販売台数を発表した。それによれば、国内の新車販売台数は前年同月比6.0%ダウンの39万6508台という結果あり、これで4ヶ月連続で前年同月を下回ることとなった。その背景には、消費税増税による買い控えの影響が色濃くある。
車種別に見てみると、普通・小型車が前年同月比9.1%ダウンの24万511台で、軽自動車は前年同月比0.7%ダウンの15万5997台であった。軽自動車がこうして前年同月を下回るのは、2ヶ月ぶりのこととなる。しかし軽自動車の販売台数については、過去最高であった13年10月に続く多さであった。
普通・小型車のうち、トラックやバスは堅調に推移したものの、乗用車が前年同月比1.3%ダウンという結果であり、全体の数値を引き下げる要因となった。しかしそうした状況にあっても、9月末に小型車の新商品「デミオ」を発売したマツダ<7261>については、7ヶ月ぶりとなるプラス転化、また6月に発売したスポーツワゴン車「レヴォーグ」が好調なスバル<7270>も4ヶ月連続でプラスとなるなど、勢いをみせている。また軽自動車についても、スズキ<7269>、ダイハツ工業<7262>、ホンダ<7267>といったメーカーはプラスであった。しかしそれ以外のメーカーに関しては、すべて大幅減という結果に終わった。
日本自動車販売協会連合会によれば、新型車の投入により効果を挙げたメーカー以外は、軒並み状況はよくないとのこと。はたしてこの深い「井戸」に投げ込まれた日本経済という「石」が、着水する音が聞こえるのはいつになるのか?自動車業界に限らず、1日も早い回復を願うばかりである。(編集担当:滝川幸平)