先日、携帯電話大手3キャリアそれぞれの2014年9月中間連結決算が発表され、ソフトバンク<9984>が増益、auのKDDI<9433>が増収増益、しかしNTTドコモ<9437>だけが減収減益という結果となり、NTTドコモの「一人負け」状態が浮き彫りとなったわけだが、そのNTTドコモの不振の影響を受けて、親会社のNTT<9432>は7日、15年3月期の業績予想を下方修正すとの発表を行った。
NTTの発表によれば、売上高を従来の予想よりも1900億円減らし前年同期比0.8%アップの11兆100億円、営業利益を従来の予想よりも1200億円減らして前年同期比9.8%ダウンの1兆950億円、純利益を570億円減らして前年同期比10%ダウンの5290億円とする。こうして軒並み下方修正を行った背景には、NTTドコモの不振の影響がある。NTTドコモは6月より国内通話完全定額制サービスを開始。しかしそれにより料金収入が落ち込む結果となった。そしてNTTもその落ち込み分をカバーすることができず、3年ぶりの減益となった。
そして同日にNTTが発表した14年9月中間連結決算によれば、売上高にあたる営業収益が前年同期比2.0%アップの5兆3737億円、営業利益は前年同期比9.5%ダウンの5909億円、そして純利益は前年同期比10%ダウンの2903億円であった。海外事業の好調さにより営業収益は5期連続での増収となったものの、NTTドコモの不振が響いて営業利益は減益となった。そしてNTTは、株主への利益配分を強化するために、自社株取得枠の上限をこれまでよりも1000億円多い3500億円にするとの発表も行った。
NTTドコモの減収減益がグループ全体の業績を下げる結果となったわけだが、今回発表されたNTTの15年3月期の下方修正は、NTTドコモが同期に対して行った下方修正の減少幅をそのままあてはめている。つまりNTTの業績が回復するかしないかは、NTTドコモにかなりのウェイトが占められているという風にも考えることができる。こうしたことからも、かつてのナンバーワン通信事業者に戻ってほしい、そう思っているのは誰よりも親会社であるNTTであることは間違いない。(編集担当:滝川幸平)