株式会社パテント・リザルトは、独自に分類した「情報通信」業界の企業を対象に、各社が保有する特許資産を質と量の両面から総合評価した「情報通信業界 特許資産規模ランキング」をまとめた。これは、2013年4月1日から2014年3月末までの1年間に登録された特許を対象に、個別特許の注目度を得点化する「パテントスコア」を用いた評価を行い、企業ごとに総合得点を集計したもの。その結果、1位 NTT、2位 NTTドコモ、3位 MICROSOFTとなった。
1位のNTTの注目度の高い特許には、「音声、画像などの信号を、ベクトル量子化により符号化、復号化する場合に発生し得るミュージカルノイズを低減する技術」などが挙げられるという。この特許は、PCT国際出願からの移行となっており、パテントファミリーの情報を確認すると、日本のほかには、米国、欧州、中国、カナダに出願が見られ、いずれも各国の特許庁において審査中の段階となっている。
2位のNTTドコモは、「携帯電話などから得られる位置データを、個人の識別性を秘匿しつつ、統計情報の生成に利用することを可能とする技術」などが注目度の高い特許として挙げられている。この特許は、比較的近年となる2011年の出願であるにもかかわらず、後発でゼンリンデータコムによって出願された特許の審査過程で、拒絶査定における先行文献として審査官に引用されている。
3位のMICROSOFTの注目度の高い特許には、同社の製品であるKinectのような、ジェスチャー・音声認識による操作が可能なデバイスにおける「1人以上のユーザーを区別し、システムへの参加の有無や、ユーザー間のプロファイル交換などを、ユーザー側で任意に制御可能とするための技術」など。この特許は、PCT国際出願からの移行となっており、特許審査ハイウェイに基づく早期審査請求を行っている。上位10社の中で、前年から順位を上げた企業は、楽天、コナミデジタルエンタテインメント、ディー・エヌ・エー、米Googleとなっている。
ここでいう特許資産の規模とは、企業が保有する特許(特許庁から特許登録が認められ、失効や権利放棄されていないもの)を「特許資産」としてとらえ、その総合力を判断するための指標。特許1件ごとに注目度に基づくスコアを算出した上で、それに特許失効までの残存期間を掛け合わせ、企業ごとに合計得点を集計している。注目度の算出には、特許の出願後の審査プロセスなどを記録化した経過情報などを用いている。(編集担当:慶尾六郎)