三菱重工の苦難 豪華客船事業で特損1,000億円以上も

2014年11月16日 13:25

 三菱重工業<7011>は10月31日、2014年9月中間連結決算で、造船事業により398億円もの特別損失が生じたことを発表した。14年3月期決算の特損額641億円と合わせると、損失額は1,000億円以上となる。

 三菱重工業の説明によると、巨額損失の原因となったのは世界最大のクルーズ客船会社、米カーニバル社傘下のアイーダ・クルーズ社から11年に受注した大型クルーズ客船だ。三菱重工業は約3,300 人乗りで12 万 4,500総トンもの豪華客船の建造を2隻引き受け、13年の 6 月から造船作業に取り掛かっていた。

 当初の予定では次世代省エネ客船と位置づけ、これまでの造船実績に加えて高い技術を発揮しながらプロジェクトを進めていく計画だった。しかし、実際の作業段階に入ったところで、大幅な設計変更を余儀なくされ、事業は思わぬ方向に展開する。

 3月に行われた会見で、交通・輸送部門を統括する鯨井洋一・常務執行役員、経理担当の野島龍彦・常務執行役員らは、設計変更の背景について、「客室内装や設備など、アイーダ・クルーズ社から予想以上にグレードの高い要求がなされた」と述べた。資材調達先もアイーダ・クルーズ社が指定したため、当初予算を大幅に上回る費用がかかることになり、さらに設計自体の見直しも強いられたことで、予想を超えてコスト悪化が膨らんだ。その後も配管・配線トラブルなどの不具合に見舞われ、工期がさらに遅れるなど、悪夢のようなサイクルから抜け出せず、追加費用が嵩んだ。

 コンテナ船などの一般商用造船事業では中国や韓国との競争が激しくなっており、三菱重工としては高い技術力が必要とされる資源運搬船や大型客船事業を中心に事業展開していく方針だった。しかし、思わぬ誤算で巨額損失を出してしまうこととなり、事業方針そのものの修正も迫られそうだ。アイーダ・クルーズ社からの受注金額は推計で約1,000億円とも言われており、すでに採算が取れない状況にある。造船事業の新たな活路として期待がかかっていただけに、打撃は相当なものだろう。(編集担当:久保田雄城)