三菱重、独シーメンスと合弁会社設立

2014年05月08日 09:17

 7日、三菱重工業<7011>は子会社の三菱日立製鉄機械の製鉄機械事業とドイツのシーメンスが、同事業において合弁会社を設立することで合意したとの発表を行った。製鉄機械事業で、製品ラインアップの拡充とグローバル展開を加速させる狙いだ。また最上流の高炉・電炉を加えることにより、全製鉄プロセスで製品供給能力を高めるとともに、強みを持つ地域の補完効果も大きいと判断した。
 
 新しい合弁会社は、三菱日立製鉄機械と独シーメンスがドイツやアメリカなどに持つ製鉄事業を集約させ、英国国内に設立される。さらには日本、オーストリア、ドイツ、アメリカ、中国、インドの6ヶ所に地域拠点を置き、全世界をカバーする。出資比率は三菱日立が51%、シーメンスが49%。経営トップは人選中とのこと。発足時の従業員は約9000人を予定しており、2020年に売上高4000億円を目指すとしている。

 鉄鋼業界では世界的に、設備過剰や原材料コストの増加、そして製品価格の低下などの影響を受けて、設備投資意欲が低調に推移するとみられている。こうした状況のなか、三菱重工側は製品拡充と事業拠点網の整備により事業の強化を図りたいとしており、また独シーエンス側は事業ポートフォリオを見直すとともに、早急に製鉄機械事業の体質を改善したいとしていて、こうした両社の狙いが一致したことが今回の合弁会社設立に繋がったようだ。

 三菱重工業は、アジア、欧米、ロシア、アフリカなどの地域で事業展開を加速させ、三菱日立製鉄機械の持つプロジェクトマネジメントノウハウと、独シーメンスの持つサービス事業のノウハウを活用し、相乗効果を追求したいとしている。

 製品ライン別の事業部は、東京、広島、リンツ、エアランゲンに分けて設置される予定。このほかの両社の既存事業拠点は担当する製品により東京、広島、あるいはリンツの傘下に入る予定。

 英国に設置される本社には、事業部を含む地域拠点を統括しつつ販売、マーケティング、顧客管理、調達、製造などの組織を横断する機能を持たせ、地域拠点をバックアップしていく計画だ。(編集担当:滝川幸平)