厚生労働省が10月31日に公表した「一般職業紹介状況」によると、9月の有効求人倍率は1.09倍、正社員に限ってみると0.67倍だった。いずれも前月を0.01ポイント下回ったものの、依然として上昇傾向にある。
人材採用支援を手がけるエン・ジャパンによると、今年、中途採用を実施した企業は全体の86%と、この5年で24%増加した。これまで抑制していた中途採用を再開する企業が増え、人材の奪い合いになっている。転職希望者にとっては門戸が広がる一方、応募者数が確保できない、内定辞退が相次ぐなど、課題に直面する企業も多い。同社が、「エン 人事のミカタ」を利用している人事担当者189人を対象に行ったアンケートでは、中途採用に苦戦する企業が多い実態が明らかになった。
各企業で中途採用を手がける人事担当者に、「2014年に中途採用(正社員募集)を実施したかどうか」尋ねたところ、「実施した」という回答が全体の86%にのぼり、昨年比で3%増加、2009年のリーマン・ショック後と比べると24%も増加している。
中途採用を実施した理由は、「業務量増加」(46%)と「欠員補充」(43%)が最も多い。業種別でみると、業績拡大に伴う「業務量増加」の回答が「欠員補充」よりも10%以上多く、景気上昇の影響を受けていると考えられるのは、「IT・情報処理・インターネット関連」(72%、欠員補充は23%)「不動産・建設関連」(50%、同29%)の2業種だった。IT関連は、エンジニア不足や、新規サービス開発・新規事業参入が増加したために求人が増えている。「不動産・建設関連」は、復興需要やオリンピック需要による人手不足が続いているとみられる。
中途採用の応募者数が「減った」と回答した担当者は36%、「増えた」は20%だった。募集をかけてもなかなか人が集まらない企業が多いようだ。また、応募者の質については、「下がった」が31%だったのに対し、「上がった」は13%にとどまった。内定辞退についても「増えた」が29%、「減った」は5%。転職希望者にとっては選択肢が増える一方、採用側にとっては、人員の量・質ともに、確保しづらい状態になっている。(編集担当:北条かや)