日立製作所、管理職の年功序列制度を廃止

2014年09月30日 08:07

 「年功序列による賃金制度」に対する反応は、人それぞれだろう。若い人の中には「年齢で判断するのではなく、実力で判断すべきだ」という考え方を持つ人もいるだろうが、しかし年配の方の中には、年を追うごとに賃金が安定的に上がっていく点に、メリットや存在意義を感じている人も多いだろう。これはなにも、若者がその「年功序列」により恩恵を被ることができないから、また年配者がその制度による恩恵を被ることができるから(また、被り続けてきたから)、そういったことだけが理由ではないように思う。端的に言ってしまうと、時代が変わったということなのだろう。若者にとってそれは「かつて日本経済が好調であった時の制度」であり、年配者にとってそれは「夢の名残」なのかもしれない。

 日立製作所は26日、国内の課長クラス以上にあたる管理職の社員約1万1000人について、これまでの年齢や勤続年数に応じて給与を支給してきていた、「年功序列」による賃金制度を10月より改定するとの発表を行った。日立製作所としては、現在担当している仕事内容の責任の重さや、成果などが直接的に給与に反映される制度に見直すという。

 日立製作所はこれまで、管理職社員の給与のうち、70%を年齢や勤続年数に応じた「年功序列」制度によって支給し、残りの30%を仕事の責任の重さや成果などの内容を反映させて支給していた。しかし今回の発表により、その70%の「年功序列」分が見直されることとなり、これにより、若者や中途採用のため勤続年数の短い外国人でも仕事内容によっては高い給与が得られるようになり、仕事に対する意欲を喚起することができるとしている。今後は国内外のグループ各社でも同様の見直しを行う。また一般社員の賃金制度に対しても見直しを行っていく方針だ。

 大企業によるこうした「年功序列による賃金制度」の見直しの波は広がっており、日産自動車<7201>が「年功序列」制度を廃止した以外にも、ソニー<6758>やパナソニック<6752>なども制度の見直しを検討しているという。(編集担当:滝川幸平)