【今週の振返り】総選挙で先走った過熱感で133円下落した週

2014年11月22日 20:13

画・3年ぶり民間給与増、しかし物価の上昇に、賃金の伸びが追いついていないという事実

前週は解散・総選挙の「噂で」610円買われ、今週は「事実で」133円売られて、5週間ぶりのクールダウンの週になった。

 19日朝方のNYダウは2.09ドル安。NASDAQは26ポイント下落した。住宅着工件数は市場予測を下回ったが建設着工許可件数は6年4ヵ月ぶりの高水準で強弱まちまち。20日朝方の為替レートはドル円は7年3ヵ月ぶりの118円台前半、ユーロ円は148円前半で、円安がなかなか止まらない。

 取引時間前に10月の貿易収支が発表され7100億円の赤字。28ヵ月連続赤字だが9月の9583億円も市場予測も大きく下回った。日経平均は118.94円高の17407.69円で17400円台を回復して始まる。TOPIXもプラスで1400台を回復。しかし序盤は17400円台を維持できず、10時台前半までは17300円台で推移する。10時45分に中国の11月のHSBC製造業PMIが発表され、50.0で10月の50.4、市場予測の50.2より低く6ヵ月ぶりの低水準だった。それに反応して日経平均は17300円を割り込み、マイナスに落ちて10時55分に17270円まで下げる。その後は前日終値近辺でくすぶり、前引けは17292円でかろうじてプラスだった。

 後場はやや高い水準で始まり、午前0時台のうちに17360円近辺まで上げた後、1時台に17300円を割り、2時台に再び17350円近辺まで上昇するアップダウン。その間に為替はドル円は118円台後半、ユーロ円は148円台後半まで円安が進む。日経平均は円安に支えられ17300円台をしっかりキープし、為替が円安に突き進もうと日経平均は終盤、先物主導で急落してマイナスまで下げる。TOPIXも瞬間マイナスになった。それでも大引け直前にプラスに戻し、終値は12.11円高の17300.86円とかろうじてプラス、17300円台に乗せ反発して終えた。日中値幅は137円。TOPIXは+1.10の1397.64で3日続伸。売買高は24億株、売買代金は2兆2439億円。

 プラスセクター上位は繊維、鉱業、海運、輸送用機器、水産・農林、ゴム製品など。マイナスセクター下位はその他金融、不動産、電気・ガス、証券、保険、パルプ・紙など。

 20日のNYダウは33ドル高の17719.00ドルで史上最高値更新。NASDAQ総合指数は26ポイント上昇した。中国やユーロ圏のPMIが悪くて安く始まったが、フィラデルフィア連銀景気指数も中古住宅販売件数もCPIも市場予測を上回った。21日朝方の為替レートはドル円が118円台前半、ユーロ円が148円台前半で、円安も踊り場。

 日経平均は15.14円安の17285.72円で始まる。TOPIXはわずかなプラスで始まるがすぐマイナスに転じる。序盤の日経平均はズルズル下げるばかり。9時台後半には17200円も割り込み、9時40分に17170円まで下げる。為替も円高方向に振れていた。その傾向は10時台も変わらず、ドル円は117円台、ユーロ円は147円台に。麻生財務大臣が「円安のテンポが速すぎる」と発言した他、甘利経済再生担当大臣は国の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する財政再建目標を「消費税率引き上げを想定せず達成する」と発言していた。日経平均は何度も安値を更新しながら下落を続け11時3分に17108円まで下げた。「金曜日の利益確定売りは、三連休の前には特にきつくなる」というアノマリー通りの展開だが、大臣発言への反応もあり「持ち高調整売り」と言うにはやや厳しい下げ。それでも11時台は持ち直して、前引けは17165円だった。

 後場はやや水準を上げて再開し17200円を超える。国会議事堂では午後1時14分に衆議院が解散した。日経平均はマイナス圏ながら17200円をはさんで上下に動き、だんだん振幅が小さくなって落ち着いてくる。為替のドル円が円安方向に変わると、1時45分頃から上昇し、2時に17300円を超えてプラスに浮上して高値を取る。終盤は17300円台前半から後半へ一段高。2時45分に17381円まで上昇する。そのまま大引けになり終値は56.65円高の17357.51円と続伸し3勝2敗、前週末14日終値から133.32円下落する5週ぶりのマイナスで今週の取引を終えた。日中値幅は273円に拡大。TOPIXは+2.54の1400.18で4日続伸して14日以来の1400台回復。売買高は25億株、売買代金は2兆4958億円だった。

 プラスセクター上位はパルプ・紙、鉱業、石油・石炭、水産・農林、倉庫、鉄鋼など。マイナスセクター下位は卸売、繊維、非鉄金属、情報・通信、輸送用機器、医薬品など。(編集担当:寺尾淳)