【日経平均】7~9月期GDPの1.6%減ショックで517円安

2014年11月17日 20:17

 前週末14日のNYダウは18ドル安と反落。NASDAQ総合指数は8.40ポイント続伸した。注目されていた小売売上高、ミシガン大学消費者景況感指数はともに市場予想を上回り個人消費の不安が後退。そのため序盤は堅調だったが、週末でもあり利益確定売りに徐々に崩された。ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイが7~9月期にVISA、マスターカード、GMの株式保有を増やしたことがSECに提出された保有有価証券報告書で判明したが、すでに高値圏のVISAは0.8%下落、マスターカードは0.2%下落、GMは0.4%上昇した。ヘルスケア関連はおおむね軟調。シスコシステムズは2.5%反発。17日朝方の為替レートはドル円が116円台後半、ユーロ円が146円台前半で、円安の勢いは止まらない。

 オーストラリアのブリスベーンで開かれていたG20サミットは16日閉幕。首脳宣言では「成長戦略を実行すれば2018年までにG20全体のGDPの2.1%底上げは可能」「労働力率の男女間格差を2025年までに25%減少させる」などの文言が盛り込まれた。16日投開票の沖縄県知事選は米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する前那覇市長の翁長雄志氏が当選し、安倍内閣は星を落とした。

 CME先物清算値は17485円。取引時間前に7~9月期国内総生産(GDP)一次速報値が発表された。4~6月期の反動でプラス成長が見込まれて市場予測は年率換算プラス2.1%だったが、フタを開けてみればマイナス1.6%で2四半期連続減少で、4~6月期も下方修正されるおまけつき。これで消費増税先送り、衆院解散・総選挙は決定的で円が売られドル円は117円にタッチしたが、数字自体はネガティブサプライズ。よくもまあ、毎週のように黒田さん、永田町、内閣府から「突然の贈り物」が送られてくるもの。

 外交日程を終えた安倍首相が帰国する日の日経平均は109.45円安の17381.38円で始まる。TOPIXもマイナス。増税先送り決定的で円安進行でも「いくら何でもGDPのマイナスはまずいだろう」という反応。景気後退懸念がだんだん大きくなり、利益確定売りを誘って午前9時台は17200円近辺までジリジリ安。10時台には17200円を割り込む。上海、香港市場はプラスで始まるがすぐにマイナスに下がる。11時台になると東京外国為替市場で円高が急速に進みドル円が116円を割ってしまい、日経平均も17100円を守れず一時17000円割れ。前引けは17037円だった。

 後場は17047円で始まり、「日銀ETF買い入れ期待」なのか午後0時台は持ち直しそうな兆しもあったが、2時頃までは17100円前後の水準でもみあい。為替のドル円は115円台後半でくすぶる。2時台になると17000円そこそこの水準まで下がって小動きするが、終盤に先物主導で再び17000円を割り込んで2時48分には16907円まで下落。終値は517.03円安の16973.80円と5日ぶりの大幅反落。3日間保った終値17000円台を割り込み、下落幅は2月4日の610.66円安以来今年2番目の記録。日中値幅も502円あった。TOPIXも-34.28の1366.13と反落。売買高は28億株、売買代金は2兆8601億円だった。

 東証1部の値上がり銘柄数は110しかなく、値下がり銘柄数は1682で全体の91%を占めた。33業種別騰落率の上昇は1業種、下落は32業種。プラスのセクターは繊維。マイナスのセクターで下落幅が小さかったのは銀行、水産・農林、海運、鉱業、卸売など。下落幅が大きかったのはその他金融、保険、電気・ガス、ガラス・土石、陸運、建設など。

 日経平均採用225種は値上がり2銘柄、値下がり222銘柄。変わらず1銘柄。プラス寄与度1位は東レ<3402>で+1.32円、2位は三菱UFJ<8306>で+0.55円。マイナス寄与度1~4位はファーストリテイリング<9983>、ファナック<6954>、ソフトバンク<9984>、KDDI<9433>の順で「日経平均寄与度四天王」が占め、合計で-134円、日経平均を押し下げていた。

 あおぞら銀行<8304>の4~9月中間期決算は、経常利益39%増ながら海外投資の含み損処理による特別損失57億円で最終減益1%減で8円安。野村HD<8604>は21.1円安。自動車大手ではグループの豊田通商<8015>を通じて移動式水素ステーションを運営する新会社を年内に設立と報じられたトヨタ<7203>は144円安、豊田通商は86円安。2020年の東京五輪までに小型航空機「ホンダジェット」の日本での販売を目指す方針を示したホンダ<7267>は90円安。欧米では来年から販売。富士重工<7270>は88.5円安、マツダ<7261>は49円安。タイヤにセンサーを取り付け摩耗量を検知するシステムを開発と発表したブリヂストン<5108>は114円安。三重県の工場に新棟を建設しAT(自動変速機)用部品の生産能力を増強するエクセディ<7278>は66円安。タカタ<7312>はアメリカ連邦議会上院の商業科学運輸委員会が20日に公聴会を開くと発表して38円安。経営陣をワシントンDCに呼んで追及するといい、まな板の上のコイ。

 パナソニック<6752>に3つの話題。4K対応の放送局向け映像制御システムを開発してテレビ朝日<9409>に納入すると発表。ベトナム工場の配線器具の生産能力を2018年度までに2倍にすると報じられ、S&PがBBB+の格付けそのままに長期会社格付け見通しを「安定的」から「ポジティブ」に引き上げたと発表したが20円安。日立<6501>は1回の充電で走行可能な距離を現在の2倍にする電気自動車用リチウムイオン電池の新技術を開発と発表したが28円安。東芝<6502>は東北大学と共同で日本人のゲノム(全遺伝情報)を5万円以下で解析できるチップ「ジャポニカアレイ」を開発と発表したが14.1円安。2017年にも価格500万円程度のスーパーコンピューター「オーロラ」を発売する話が出て、東南アジアの自動車販売店向けのクラウドサービスを14日に発売したNEC<6701>は6円安。発光ダイオード(LED)を使った画像認識技術を共同開発するなど医療系ベンチャーのエクストリリオンと組んで医療事業に本格進出と発表した船井電機<6839>は34円安。医療分野を新たな柱とし2018年度売上高100億円を目指す。