サントリー、ティップネスを日テレに売却

2014年11月24日 08:53

 アメリカの大手酒造会社の巨額買収にともなう負債が膨らんでおり、飲料などの主力事業以外の整理を急いでいるサントリーホールディングスだが、その一環としてスポーツクラブ運営子会社のティップネスを日本テレビホールディングス<9404>に売却することで合意したとの発表を21日に行った。サントリーホールディングスは保有する約71%のティップネスの株式を日本テレビホールディングスに売却する見通しで、またティップネスに約29%出資している丸紅<8002>も日本テレビホールディングスに株式を売却する。売却額は非公表。しかし合計で数百億円規模になるとみられる。

 今回日本テレビホールディングスへの売却が発表されたティップネスは、首都圏や東海、関西を中心にフィットネスクラブ61店舗、ジム9店舗を運営しており、会員数は2013年末時点で約25万人、また13年の売上高は329億円であった。1986年にサントリーホールディングスの社内ベンチャーとして誕生。その後、丸紅が展開するスポーツクラブ「レヴァン」を合併した。

 サントリーホールディングスはアメリカのウイスキー大手「ビーム」の買収にともない、1兆6000億円もの資金を投じた。買収資金は借り入れでまかなっており、その負債を圧縮し経営の高効率化をはかるため、飲料などの主力事業に経営資源を集中させるという方針を示している。そしてそれ以外の事業についての整理を進めており、今回のティップネス売却もその一環とみられている。

 そして日本テレビホールディングスはここのところ、放送事業以外の事業に対して活発に投資を行い続けている。今年の春には、アメリカの動画配信大手である「Hulu(フールー)」の日本事業の買収を行ったばかりだ。

 負債の圧縮を急ぐサントリーホールディングスの今後の動きも気になるところだが、しかしそれと同じくらい日本テレビホールディングスの活発な動きも気になるところである。テレビを観ない人が増加し「もうテレビは終わった」などと言われることも少なくない今、こうして放送事業以外の事業に手を伸ばすのは、ある意味仕方のないことなのかもしれない。(編集担当:滝川幸平)