すかいらーくは外食レストラン「ガスト」、中華料理「バーミヤン」、和食「藍屋」などのファミレスを中心に運営する会社だ。2013年12月時点で3006店舗を運営している。1962年4月に設立され、70年代後半から80年代には「デニーズ」「ロイヤルホスト」などとともに、ブームに乗って外食業界を牽引したが、2000年代半ばに低価格のファストフードチェーンなどに顧客を奪われ業績が悪化。2006年にMBO(Management Buyout/会社経営陣による買収)で上場廃止し、2011年から米投資会社ベインキャピタル傘下で経営改革を推進していた。
アセットアライブ投資情報によれば、すかいらーくは東京証券取引所に、2014年10月9日に株式を上場する。8年ぶりの再上場である。
すかいらーくの売上高は国際会計基準で、2012年度3296億円(純利益70億円)、2013年度3324億円(純利益70億円)となっており、2011年まで続いていた赤字体制から脱却した。再上場における想定発行価格は1450円、時価総額は2800億円となる模様だという。
また、この上場を前に筆頭株主の米ベインキャピタルが発行済み株式総数の30%を売却する方針で、その一部を日本の大手ビール各社が引き取るということが分かった。アサヒビールとキリンビール、サントリー酒類は、すかいらーくに合計100億円を出資する。アサヒビールは41億円出資し1.5%の株を保有、キリンビールは40億円出資し同1.4%、サントリー酒類は19億円を出資し同0.7%保有する。すかいらーくにとって安定株主といえる存在となる。
これまで、大手ビール会社の取引先のメインは「居酒屋チェーン」だったが、顧客層が「いわゆるオヤジ」限定されがちな居酒屋は、2007年以降売上が逓減し続け、2011年には遂に1兆円の大台を割り込んだと言われている。比べて子育て中の家族やその親世代のシニア、加えて学生を含む若者など、利用客が多彩で、毎年2%程度の売上伸長を示すファミレスにビール各社は注目している。
日本のビールメーカーは、いわゆる「総合酒類産業」を標榜しており、取引先が望めば、「いかなるアルコール飲料でも供給できる」はずだ。ファミレスで「どのような世代が、どのようなアルコール飲料と料理を注文したのか?」、そのデータベースは重要なマーケティングの材料となる。
すかいらーくは、現在サッポロビールを含めたビール4社と実質的な取引がある。現在、料理とアルコール飲料の注文・組み合わせなどの購買データを活かしたマーケティングに取り組んでおり、このデータはビール各社にとっても喉から手が出るほどほしい。ビール4社はすかいらーくに出資することで、こうしたデータを活用したい考えだ。
近年、すかいらーくの出店方法は、従来型のロードサイドを中心とした路面店への出店戦略から、ショッピングセンター内など都市部と郊外型店舗のバランスを取った出店に切り替えてきた。また、業態としては、将来的に十分な新規出店余地があるガストを約半数とする出店計画で臨む。(編集担当:吉田恒)