沖縄県知事選挙が16日に行われ、主に、アメリカ軍普天間飛行場の名護市辺野古への県内移設が争点となった。多くの候補者が立候補し、移設に反対する翁長雄志前那覇市長が当選し、新しい沖縄県知事に選出された。現職であった仲井真弘多知事は敗北した、しかも翁長氏とは約10万票もの大差がついた。
投票率は64.13%で、下地幹郎元郵政担当相、喜納昌吉元参院議員などの著名な候補者も翁長氏に大差で破れた。もちろん政府、自民党は仲井真氏を支援しており、いわば「敗北」した形。かなりの打撃となったといわれている。ただし、政府関係者は辺野古移設方針自体に影響はないとの認識を示している。
なぜ今回、現職の知事が落選したのか。その発端は現職の仲井真知事にあった。前回の知事選において「普天間飛行場の県外移設」を主張しながら、知事として昨年末、移設に向けた政府の埋め立て申請を認めたからだ。このことが公約違反としてとらえられた。これに反発した当時那覇市長で仲井真氏の有力支援者である翁長氏が出馬を決意。
翁長氏は、基地負担が沖縄に集中していること、辺野古移設を「沖縄への構造的差別」とまで語り、基地問題が経済発展の阻害要因と主張し、移設に強く反対する姿勢を鮮明にしてきた。
今回の知事選で、辺野古移設反対を掲げる候補が当選したのは初めてのことである。圧倒的な勝利というのも特徴である。沖縄県民の民意ということは改めて明らかになったといえる。民主党政権以来、ヤマトンチュー(本土)の都合に振り回されてきたことに対する感情的な反発も背景にあったとも分析されている。
今回の選挙結果を政府は受け止めるのか。日米関係、安全保障への影響、地方自治においてどういった問題解決をすすめていくのか。新知事との間に議論が行われる前に、衆議院が解散され、総選挙を行うことが安倍首相から発表された。かすんでしまった基地問題は争点になるか。特に、沖縄以外の日本国民も一度考えなくてはいけないだろう。(編集担当:久保田雄城)