三洋電機全社員、来年4月にパナソニックへ転籍

2014年12月01日 08:27

 パナソニック<6752>は子会社である三洋電機<6764>の全社員約7000人を2015年4月にパナソニックへ転籍させるとの発表を行った。当面はアフターサービスなどのため三洋電機の法人格は維持されるが、しかしこの措置により事実上、三洋電機は消滅することとなった。

 28日、パナソニックは子会社である三洋電機の社員約7000人を15年4月にパナソニックへ転籍させ、同じ賃金体系にすると発表。こうして三洋電機の社員全員を転籍させることでグループとしての一体化をはかり、社員の士気を高めたい考えだ。転籍となるのは現在パナソニックに出向している約6600人の社員と、三洋電機に残っている約400人の社員で、そうして三洋電機の社員全員の転籍が行われた後も同社の総務や経理を行うための人員が必要となるため、それらの人員についてはパナソニックから出向されることとなる。三洋電機の労働組合には同日付で申し入れを行い、15年1月以降に社員への説明を開始する予定。

 パナソニックは09年12月に三洋電機を連結子会社化。その後11年4月に完全子会社化とした。それ以来、グループの事業再編を進めパナソニックと三洋電機の事業一体化をはかってきたが、三洋電機の社員はパナソニックの社員よりも賃金水準が低いため、社員を転籍させると人件費の負担が膨らむことから完全子会社化後も転籍させるのではなく出向させるにとどめてきていた。しかしパナソニックは今年の10月から管理職の給与体系の見直しを行い、これまで設けられていた「参事」や「主事」といった資格の廃止を決定。担当する役割と職責の重さに応じて給与が決まる新しい賃金体系を導入した。そして15年4月より一般社員の賃金体系についても見直しが行われるのに合わせて、今回三洋電機全社員の転籍を決定した。そして転籍となった三洋電機の社員に対しても、新しい賃金体系が適用されることとなる。

 09年にパナソニックの子会社となる前までは、三洋電機の社員は約2万6000人であったが、しかし白物家電事業の売却などによりその数は約7000人にまで減少。そして今回の全社員転籍の措置により、しばらくは法人格は維持されるものの、三洋電機の企業としての歴史に幕が下ろされることとなった。(編集担当:滝川幸平)