【日経平均】首相の所信表明演説で円安が進行し80円高

2014年09月29日 20:20

26日のNYダウは167ドル高で17000ドル台を1日で回復し「約6割戻し」。NASDAQ総合指数は45ポイント上昇した。「ユダヤ新年」で売買高が前日比約1億株減の薄商いの中、約1ヵ月前の水準に後退した水準を「売られすぎ」とみて押し目買い意欲旺盛。ミシガン大学消費者信頼感指数改定値が堅調で4~6月の実質GDP確定値が上方修正されたのも支援材料だった。30種の主役はブラジルW杯効果もあり決算が好調のナイキで12.2%上昇。アップルは2.9%上昇と大幅反発しアリババも1.7%上昇。「物言う株主」のスターボード・バリューから「AOLと統合すべきだ」と提案されたヤフーは4.4%上昇した。29日朝方の為替レートはドル円が109円台前半、ユーロ円が138円台後半で、前週同様の円安の水準が続いている。

 CME先物清算値は16365円。日経平均は109.17円高の16339.03円と16300円台を回復して始まる。TOPIXもプラスで開始。しかし午前9時3分の16344円をピークに下落し、9時台後半は16300円を割り込み16290円近辺で小動きする。それでも10時台に入れば16300円を超える。上海市場はプラスで始まるが、香港市場は次期長官の選挙方法をめぐる民主派の抗議活動が騒乱事件に発展し大幅安スタート。それでも為替が円安方向に動いたので16330円近辺まで上昇する。11時台は水準を下げ前引けは16299円だった。

 後場は16300円台を回復して再開するが午後1時4分には16262円まで下落する。1時台は16300円割れの水準で推移したが、この日に召集された臨時国会で安倍首相が所信表明演説を始めて「経済最優先の政策運営」「地方創生」「女性の活躍支援」などを強調すると2時から109円台後半までドル高円安が急進して6年1ヵ月ぶりの水準になる。しかし日経平均は16320円近辺で上値を抑えられ、16300円そこそこの水準で推移。香港ハンセン指数が下げ幅を500ポイントまで拡大し、上海もつられてマイナスに転じた影響だけでなく、御嶽山の大噴火で死者が出て、はしゃげないムードもあり。円安の一服もあって終盤も上値を追えず、80.78円高の16310.64円で終えて反発した。高値波乱気味のNY市場を横目に東京市場は手堅い値動きだが、26日の配当落ち分約91円は埋められなかった。日中値幅は82円。TOPIXは+5.35の1337.30。売買高は18億株、売買代金は1兆7794億円で7日ぶりに2兆円を割り込んだ。

 東証1部の値上がり銘柄数は1035で全体の56%を占め、値下がり銘柄数は652。33業種別騰落率は25業種が上昇し8業種が下落した。プラスのセクターの上位は機械、建設、その他製品、金属製品、電気機器、空運など。マイナスのセクターの下位はパルプ・紙、石油・石炭、海運、その他金融、鉱業、非鉄金属などだった。

 日経平均採用225種は値上がり154銘柄、値下がり58銘柄。プラス寄与度1位はKDDI<9433>で+6円、2位はファーストリテイリング<9983>で+6円。マイナス寄与度1位はアメリカのアニメ製作会社「ドリームワークス・アニメ」買収が報じられたが不透明感が漂って材料にならなかったソフトバンク<9984>、2位はファナック<6954>で、ともに-10円だった。

 メガバンクはみずほ<8411>は0.2円高だったが三菱UFJ<8306>は3.6円安、三井住友FG<8316>は7.5円安。野村HD<8604>は4.9円安だった。自動車大手は「レクサス」をインド市場に投入するトヨタ<7203>が35円高、富士重工<7270>が売買代金10位に入り23.5円高で年初来高値更新、ホンダ<7267>は25.5円高。GMとのピックアップトラック共同開発を正式発表したいすゞ自動車<7202>は22.5円高で年初来高値を更新した。電機大手はソニー<6758>が60円高と反発し、東芝<6502>は1.2円高で年初来高値更新、NEC<6701>は8円高、ボールペンで入力できる液晶パネルを開発したシャープ<6753>は1円高。子会社の三洋電機と2015年4月に人事制度を統一するパナソニック<6752>は6.5円高。

 機械セクターは業種別騰落率トップで航空機の話題が2題。三菱重工<7011>は国産ジェット旅客機「MRJ」で1000台の受注を目指すと報じられ7.1円高、日機装<6376>はボーイング787の主翼の部材を年末から供給すると報じられ36円高。関西電力<9503>に続いて中国電力<9504>も電力の越境販売を行う。2016年4月から九州、四国、近畿地方など西日本エリアで100万KW分の販売を計画し9円高。北海道電力<9509>は11月1日から予定する家庭向け電気料金の再値上げ幅を申請の17.03%から16%前後に圧縮して7円高。津軽海峡の連係電力線の容量が小さく越境販売も受けられない。

 建設セクターは業種別騰落率2位。熊谷組<1861>は売買高4位、売買代金9位、三井住友建設<1821>は売買高7位、鉄建<1815>は売買高12位、不動テトラ<1813>は売買高13位。値上がり率ランキングでは、東海東京調査センターが新規に最上位のレーティングをつけた日特建設<1929>が一時ストップ高の68円高で年初来高値を更新して1位に入り、7位に不動テトラ、12位に大和小田急建設<1834>が入っていた。