日本のセガサミーホールディングスと韓国カジノ最大手のパラダイスグループによる合弁会社によって、韓国初となるカジノ複合リゾート(IR)が着工した。場所は仁川国際空港でも有名な永宗島で、2017年春までに約1,380億円をかけてカジノや大型高級ホテルを建設する。
11月20日、日本のセガサミーホールディングス<6460>と韓国カジノ最大手のパラダイスグループによる合弁会社によって、韓国初となるカジノ複合リゾート(IR)が着工した。場所は仁川国際空港でも有名な永宗島で、2017年春までに約1,380億円をかけてカジノや大型高級ホテルを建設する。更にその後は、劇場やコンベンションセンターも併設する予定だ。空港からの移動時間の短さを生かし、特に中国人富裕層からの利用が見込まれている。同IRはパラダイスシティと名付けられ、面積は約20万平方メートルと東京ドーム4個分以上にもなる。
セガサミーは日本でのカジノ解禁を見据え、既に12年には宮崎県のフェニックス・シーガイア・リゾートを買収している。同社は当然ここにIRを誘致する計画を持っているが、それに先駆けて韓国でカジノ運営のノウハウを蓄積しておきたい考えだ。日本国内にはカジノに関する実績を持っている企業はほとんど存在しないため、パラダイスグループと組むことによって日本での誘致合戦も有利に進めたいという意向がある。
我が国でもIRに関する議論は佳境を迎えている。6月に閣議決定された日本再興戦略(改訂2014)にはIRに関する法整備を推進していく旨が記載され、安倍首相もこれまでの会見の中でIR推進法の成立を目指していく姿勢を明確に示している。
現在国内法によって禁じられているカジノ運営を合法化するためには、カジノやそこに付随する施設によって経済が活性化し日本の成長戦略にプラスとなるための議論と枠組み作りが不可欠だ。昨年12月に国会へ提出されたIR推進法案は今回の衆議院解散で廃案となってしまったが、超党派で結成されている「国際観光産業振興議員連盟(通称IR議連)」では、改めて同法案を来年3月を目処に国会へ再提出する方針だ。通常国会での早期成立を目指す考えだという。
IR議連の細田博之会長によると、IR推進法はもともと民主党政権時代に作られたもので衆議院選挙で、どの党が勝とうとIR整備の行方には大きな影響は与えないとのことだ。選挙を前に発表された自民党の重点政策集2014でも、躍動感ある経済を実現するために「IRの推進等による観光産業の活性化を通じ、国内消費の拡大を図る」と記されている。
官民共にカジノ実現に向けての準備が急ピッチで進んでいる。しかし、その一方で治安や日本人の利用規制に関する点等、解決すべき課題も少なくない。来年は更に国民全体での具体的な議論を深める必要があるだろう。(編集担当:久保田雄城)