ロボット上部のホッパーに2升のシャリを投入すれば、あとはシャリをほぐし、米粒をいためない計量技術を駆使し、シャリ玉の形成(握り)を行う。1時間4,300貫のシャリ玉を握りだすことが可能だ。1分間約70貫以上となる。ワサビ付けも自動化されている。
11月23日、仙台市若林区の産業見本市会館「サンフェスタ」で行われた展示会で、鈴茂器工<6405>の新型寿司ロボット「SSN-FRC」「SSN-HLC」が注目を集めた。
ロボット上部のホッパーに2升のシャリを投入すれば、あとはシャリをほぐし、米粒をいためない計量技術を駆使し、シャリ玉の形成(握り)を行う。驚くべきはその握りの速度だ。1時間4,300貫のシャリ玉を握りだすことが可能だ。1分間約70貫以上となる。ワサビ付けも自動化されている。
一般的に早い寿司職人でも1時間で握れる寿司は(ネタを乗せる時間などもあるので単純比較はできないが)600貫といわれる。寿司の旨さはネタの次にシャリのうまさだ。一概には言えないが、シャリのうまさとは適度な隙間(空気)が入っていて、口の中でほぐれることがそのひとつだろう。
このロボットはシャリと空気を同一に含ませ、ふわりとした口どけの良い味を実現した。寿司職人はこの要領を覚えるだけでかなりの修行を必用とする。
このロボットが完成するまでの経過は容易ではなかった。同社は1981年に初めて寿司ロボット1号機を開発した。初期の製品はシャリを投入し、刃で形成する方法をとっていたが、さすがに職人の味には及ばなかった。そこで、刃の形状を改良するなどして、現在のレベルにいたった。このロボットはコンパクトさも魅力だ。大きさは幅760×奥行519×高さ583mmである。
すでに導入している回転寿司店も多く、寿司店スタッフはロボットに形成されたシャリ玉にネタを乗せるだけなので省力化になる。
東京に本社を置く同社はこのロボット以外にも、軍艦巻きロボット、海苔巻きロボット、どんぶりやカレーライスをご飯の食感をそこなわないようによそうシャリ弁ロボットなども販売している。これはすでに大手牛丼チェーンなどで採用されている。
海外の日本食ブームもあり、同社の製品は世界各国に輸出されている。海外の工業規格に合わせた輸出用ロボットも発売しており、2006年には米国現地法人Suzumo International Corporationも設立している。(編集担当:久保田雄城)