デジタル化に対抗 ハイテク筆記用具への期待感

2014年11月24日 19:08

画・デジタル化に対抗 ハイテク筆記用具への期待感

パソコン、スマホにタブレットなど、モバイル端末の普及で筆記用具を持ち歩かなくなったという人は多いかもしれない。これからますますデジタル化が進んで紙やペンの出番が減っていくのかと思いきや、文房具の方も進化を遂げ、ステーショナリー市場を賑わせている。

 パソコン、スマホにタブレットなど、モバイル端末の普及で筆記用具を持ち歩かなくなったという人は多いかもしれない。これからますますデジタル化が進んで紙やペンの出番が減っていくのかと思いきや、文房具の方も進化を遂げ、ステーショナリー市場を賑わせている。

 業界に革新を起こしたことで有名なのはパイロットコーポレーション<7846>の「フリクションボール」だろう。2006年にフランスをはじめヨーロッパで先行発売され、国内では07年3月から市場に出回った。温度変化でインクが消えるというフリクションインキを使用したボールペンで、ペンの頭の部分に付いているラバーを消しゴムのように使用して、何度でも書いたり消したりすることができる。60度以上で消え、マイナス20度で再現するインクの特徴を踏まえ、摩擦熱を利用して作り上げたボールペンというわけだ。消しカスが出ないことと、消し残しがないことが大きなメリットで、世界100カ国で大ヒットとなった。12年に累計4億本、14年3月には、10億本を突破する勢いで伸び続けている。

 だが同商品には注意点も。13年にフリクションボールペンの性質を悪用し、書類内容を改ざん、不正経理によって学校給食協会の臨時職員が4,200万円を横領していた事件が発覚した。ボールペンで書かれた文字は「書き換えることができない」というこれまでの常識を利用した犯罪だ。パイロットは「フリクションは消せる筆記具です。証書類・宛名など消えてはいけないものには使用しないでください。」と注意を促している。

 フリクションシリーズは13年11月、色鉛筆でも登場し、利用者層を一気に拡大した。「フリクションいろえんぴつ」はフリクションインキの色素から作った芯で、通常の鉛筆削りが使用できる。色塗りではみ出したところをきれいに消せる特質があり、孫や子どもへのプレゼントとしても人気が高い。同社の14年度6月期の報告では、国内売上高が前年同期比9.1%増の192億1,800万円で、営業利益が前年同期比38.7%増の59億2,600万円だった。またフリクションシリーズが好調に伸びている欧州地域では、売上高が前年同期比18.3%増の110億9,000万円、営業利益は前年同期比153.2%増の15億6,400万円まで伸びた。次にブームを巻き起こすのはどの文具になるのだろう。(編集担当:久保田雄城)