太陽光エネルギーに関する施策変更が地方の不動産価格下落に影響を及ぼす可能性

2015年01月06日 12:37

 昨年12月19日に、資源エネルギー庁は再生エネルギーの固定価格買取制度に係る設備認定及び設備認定の運用見直しプランを発表した。この発表により、民主党政権時に設定された、再生エネルギー、特に太陽光発電の高額な固定買取価格は最高値の42円から現在32円にまで引き下げられ、将来的にも今後より一層引き下げられることが明らかになった。この事実が、地方の不動産価格下落に影響を及ぼす可能性がある。

 再生エネルギーの固定買取制度が発足し、平成24年には太陽光の買取価格が20年間固定42円の施策が実行された際には、太陽光投資ブームが起こり、日照時間が長い地方での遊休地の不動産取引が活発に行われた。日照時間の長く、土地価格が比較的安かった九州地方ではいわゆる「メガソーラー」発電設備が一挙に増加した。現在では、九州電力が発表した、安定的に買取が可能な発電量のほぼ上限に相当する太陽光発電設備が林立する様になった。

 これら過剰な太陽光ブームと、電力各社がこれ以上の太陽光発電受け入れ困難であるという状況を受けて冒頭の資源エネルギー庁の運用見直しに繋がった。今後、各地の原子力発電所が相次いで稼働再開される見通しであることも鑑み、また、太陽光先進国と呼ばれたドイツでの固定買取価格の下落、それによる太陽光ブームの終焉という環境を見る限り、今後は日本でもこれまでの様な「好条件」での太陽光発電所の設置は望めそうにもない。

 一時期、太陽光発電に向いた土地の不動産取引が活発となった地域も、新規での太陽光発電設備設置目的での不動産売買は減少し、今年以降は間違いなく坪単価は下落するだろう。その反面、不動産各社が固定買取価格42円の時期に太陽光発電設備を設置し、電力会社との接続申請が終了している「太陽光物件」を販売しており、これらの物件は人気化している。だがこれも数が限られおり、再生エネルギー固定買取価格制度に便乗した地方の不動産物色も終わりを告げるだろう。(編集担当:八木新)