ここのところずっと不振続きであったソニー<6758>に、ようやく一筋の光が見え始めた。4日、ソニーは2015年3月期連結業績予想を修正するとの発表を行った。それによれば、これまで予想では純損益は2300億円の赤字としていたが、これを600億円縮小して1700億円の赤字とする。前年同期の純損益は1284億円の赤字であった。
今回のソニーの赤字縮小の要因として、「イメージセンサー」と呼ばれる半導体が伸びたことと、コンシューマーゲーム機(据え置き型ゲーム機)が好調に推移したことなどが挙げられる。それにより純損益はこれまでの予想よりも600億円縮小して1700億円の赤字に修正し、売上高もこれまでの予想よりも2.6%アップさせて8兆円とした。さらに営業損益についてはこれまでの予想である400億円の赤字から、200億円の黒字に転換させた。
そしてソニーは半導体の売上高を、これまでの予想である5700億円から400億円増やして6100億円に、さらに「プレイステーション4(PS4)」を中心とするゲーム機の販売台数を、これまでの予想である1700万台から50万台増やして1750万台にそれぞれ引き上げた。
こうして数値のみを追っていくと、不振続きのソニーに復活の兆しが見え始めたかにも思われるが、しかし話はそう簡単ではない。ソニーには依然として懸念材料がある。それはスマートフォン(多機能携帯電話)関連事業の不振である。このスマートフォン関連事業の不振により、ソニーは業績の足を引っ張り続けられている。ソニーは14年5月にスマートフォンの世界販売計画を5000万台としていたが、しかし14年7月と10月に引き下げを行い、さらに今回3度目となる引き下げを行い、結果計画台数を3920万台に下方修正した。ソニーはこうしてスマートフォンの世界販売台数を引き下げた上で、人員削減などの合理化を推し進めるとしている。
好調な分野と不調な分野、それぞれの両輪のバランスをどう取り、そしてそれぞれをどう前に進めて行くのか?このバランス感覚こそが今のソニーに求められる要素であり、またソニー復活の鍵を握る要素なのではないだろうか?(編集担当:滝川幸平)