野田佳彦前総理は16日、来年度予算案の税収についての雑感として、税収増のカラクリを提起し「国会議員の使命は『行政のポチ』になるのではなく『納税者の番犬』になること。その使命を強く自覚し、歳出全般にわたり聖域なく徹底的に精査していかなければならない」と予算審議に納税者の目線で臨む姿勢を表明した。
また、税収増に「日本経済の真の実力が回復したわけでもないのに税収が増えるのだから、安倍政権は運が良いといえる」としたうえで「ツキに慢心してしまったのか、一般会計総額は約96兆3000億円と史上最大規模になってしまった。歳出面からの取り組みにより、着実に財政健全化を進める姿勢が稀薄」とも指摘している。
税収増カラクリの事例には消費税と所得税、法人税をあげた。野田前総理は、消費税について「約17兆1000億円と前年度比で約1兆8000億円増になっている。昨年4月に税率を5%から8%へ引き上げたのだから増収になるのは当たり前。個人消費が喚起されているわけではない」。
所得税の増については「約16兆4000億円と前年度比で約1兆6000億円増見込まれているが、株式譲渡を含む配当所得がその半分を占め、給与所得が順調とは言い切れない。要はバブル効果」と指摘。
法人税についても「約11兆円と前年度より約1兆円増。かつて赤字に陥り一定期間欠損金繰越控除の対象になっていた企業が法人税を払うようになってきたためで、直近の景気動向によるものではなく、単なる巡り合わせ」。
これらをみると、アベノミクスの経済実態がどこまでが本物で、3本の矢による経済効果がどこまであがっているのか、国会審議で明るみにしてほしい。(編集担当:森高龍二)