水素エネルギー利活用については、約30年間の国家プロジェクトなどを経て、2009年に家庭用燃料電池が市場投入された。そして、今年2015年には燃料電池自動車が市場投入される予定となっている。
これを受け、岩谷産業<8088>は10日、燃料電池バスに水素を供給するための水素ステーションを建設すると発表した。同社では、一般発売が開始された燃料電池自動車や今後普及が期待される燃料電池バス用の水素ステーションなどのインフラ整備に取り組んでいる。
その一環として今回ほど関西国際空港内への建設が決定した。これは新関西国際空港株式会社が「環境先進空港」を目指して推進しているスマート愛ランド構想の柱の一つである「水素グリッドプロジェクト」の一環であり、かねてより2期空港島内への建設が予定されていたもの。
今回建設する水素ステーションは、翼をイメージしたキャノピー(屋根)と垂直に伸びる液化水素貯槽タンクのコントラストなど斬新なデザインを予定している。ここでは、車への水素充填だけでなく、燃料電池自動車や水素関連技術の展示など、ショールーム機能も併設する予定である。同社の液化水素製造拠点である株式会社ハイドロエッジからローリーで輸送した液化水素を燃料電池自動車に供給する「オフサイト方式」を採用する。
なお、岩谷産業は2016年3月末までに20ヶ所の水素ステーションの建設を完了させる予定となっている。すでに開所済み、および開所スケジュールが決定しているステーションは、イワタニ水素ステーション 尼崎(2014年7月完成)、イワタニ水素ステーション 小倉(2014年10月完成)、イワタニ水素ステーション 芝公園(2015年3月完成予定)、イワタニ水素ステーション (埼玉)戸田(2015年3月完成予定)、イワタニ水素ステーション 大津、イワタニ水素ステーション (愛知)刈谷、イワタニ水素ステーション (山口)周南、イワタニ水素ステーション 甲府、イワタニ水素ステーション (福岡)天神、である。他の10カ所についても随時公表していくという。(編集担当:慶尾六郎)