トヨタ、燃料電池車の特許を世界に無償開放すると発表

2015年01月07日 10:41

Toyota FCV Patent

米国時間の2015年1月5日、翌日に開幕を控える米国最大の民生機器の展示会「2015 International CES」に合わせてトヨタが記者発表会を開き、会見で登壇した米現地法人のToyota Motor Sales(TMS)U.S.A.社上級副社長のボブ・カーター氏が、「FCV関連の特許を無償提供するとした宣言」を発表した。

 トヨタ自動車は、同社が保有している燃料電池車(FCV)に関連する特許の実施権を無償で提供すると発表した。対象となるのは、同社が単独で保有している世界で約5680件の特許(審査継続中を含む)をである。

 2015年1月5日(米国時間)、翌日に開幕を控える米国最大の民生機器の展示会「2015 International CES」に合わせてトヨタが記者発表会を開き、FCV関連の特許を無償提供すると宣言したのだ。会見で登壇した米現地法人のToyota Motor Sales(TMS)U.S.A.社上級副社長のボブ・カーター氏が発表した。そのなかで同氏は「1月5日が、自動車業界にとってターニングポイントになる」と強調した。

 トヨタは、燃料電池自動車(FCV)の普及に向けた取り組みの一環として、この無償提供施策に乗り出す。

 トヨタのカーター氏は、「次の100年は水素エネルギーの時代になる」とし、ガソリンを燃料とする内燃機関車からFCVへの交代を進めるために、「FCV導入初期段階においては普及を優先。開発・市場導入を進める自動車メーカーや水素ステーション整備を進めるエネルギー会社などとの協調した取り組みが重要」と判断、今回の決断に至ったという。

 特許実施権無償提供の具体的な内容は、燃料電池スタック(約1970件)・高圧水素タンク(約290件)、燃料電池システム制御(約3350件)といわれるFCVの開発・生産の根幹となる燃料電池システム関連の特許を受けてFCVの製造・販売を行なう場合、2020年末までを想定した市場導入初期の特許実施権を無償とするというもの。

 また、水素供給、製造といった水素ステーション関連の特許(約70件)に関しては、水素ステーションの早期普及に貢献するため、水素ステーションの設置・運営を行う場合の特許実施権を、期間を限定せずに無償とする。

 これらの特許実施に際しては、特許実施権の提供を受ける場合の通常の手続きと同様に、トヨタに申し込んで、具体的な実施条件などについて個別協議の上で契約書を締結させていただく予定だ。

 トヨタは従来から知的財産(特許)の取り扱いについては、オープンポリシーを基本としてきた。第三者からの実施の申し込みに対しては、適切な実施料により特許実施権を提供している。燃料電池関連の特許に関しては、こうした基本方針を一歩進めて無償で特許実施権を提供することにより、FCVの普及を後押しし、水素社会の実現に積極的に貢献していきたいと考えているという。

 この太っ腹な発表で燃料電池車の開発・普及が進むのか、期待の声は多い。(編集担当:吉田恒)