日韓スワップ協定終了へ

2015年02月28日 10:19

 財務省は2月16日、韓国との通貨交換(スワップ)協定を終了することを発表した。日韓の通貨交換協定は2001年から続いてきたものであるが、今月の23日に期限切れを迎え、延長をすることなく終了となった。スワップ協定とは金融危機などで外貨が不足したときに通過を融通しあうことで経済の悪化を防ぐ取り決めである。日韓は100億ドルの融通枠を確保していた。この通貨交換協定の延長をしないという背後には、現在の冷めきった日韓関係がある。

 通貨交換協定を結ぶメリットは、韓国側は身を持って経験をしている。1997年のアジア通貨危機をきっかけに韓国は外貨の資金ショートを起こし事実上の破産に追い込まれてIMF(国際通貨基金)の支援を受けたことがある。2001年8月23日のIMF支援体制からの脱却までに195億ドルの支援金を受けていた。つまり日韓通貨交換協定とは実質的には、日本が韓国を救済するための協定である。互いに外貨を融通するという建前であるが、日韓の資金量の差は圧倒的で、日本が金融危機を起こす確率は、韓国が金融危機を起こす確率より極めて低いのが現実だ。

 韓国はサムスン電子をはじめとする財閥が存在し、このような財閥に経済が依存している。また、韓国経済は国内資本を賄うことができず、外国からの借金に依存をしている。財閥の業績が好調の内は日韓通貨交換協定の存在は重要ではない。だが、財閥が傾けば通貨交換協定の存在は重要になる。そして、財閥の一角である東部(トンブ)グループ傘下企業が法的処理手続きをはじめ、サムスン電子の業績悪化、その他に14もの財閥も危険視されている現状がある。

 李明博元大統領が起こした竹島問題が発端となり、日韓関係の軋轢が表面化した。日本国内の世論では韓国救済のための日韓通貨交換協定の廃止論が上がり、韓国国内でも反日世論のせいで日本に通過交換協定の延長を依頼することを議論しにくい雰囲気となった。そして朴槿恵(パク・クネ)大統領の強硬な対日政策のせいで、ついに通貨交換協定が延長されず終了となった。中韓通貨交換協定を結んでいるから、日本に依存する必要がないと考えたのか。韓国経済が破たんすると対岸の火事では済まない。国のトップであるならば、メンツにこだわらない賢明な判断を下してもらいたい。(編集担当:久保田雄城)