2011年3月11日に発生した東日本大震災では、主たる被災地である東北地方をはじめ、全国の多くの企業にさまざまな影響が及び、BCPをはじめとした既存のリスク対策や事業活動に、多くの課題を与えた。NTTデータ経営研究所は、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が提供する「NTTコム リサーチ」登録モニターを対象に、このたび「東日本大震災発生後の企業の事業継続に係る意識調査(第3回)」を実施し、23日にその結果を発表した。
この調査は、東日本大震災の発生に伴い、企業の事業継続に対する取り組みや意識にどのような変化が生じたか、震災の教訓を踏まえ、企業各社は現在どのような課題認識を持っているか、等について調査を実施した。
現在のBCPの策定状況について尋ねたところ、「策定済み」と回答した企業は40.8%。「策定中」まで含めると、63.1%の状況であった。従業員規模が大きくなるにつれBCP策定済み企業の割合は増え、500人以上の企業ではほぼ半数以上がBCPを策定している。
業種別では事業継続への要求レベルが高いと想定される金融・保険業がBCP策定済み67.3%と、群を抜いており、策定中を含めると8割を超える。次いで公共機関がBCP策定済み56.4%と高く、策定中を含めるとこちらも8割を超える。一方でその他の業種では軒並みBCP策定済みが5割に届かず、特に教育・医療・研究機関では4分の1にも届いていないという。
地域別では東北でBCP策定済み50.0%、次いで関東でBCP策定済み45.4%と高い。一方で北海道と九州・沖縄といった、比較的地震が起こりにくい地域で低く、BCP策定済みは4分の1に届かない。
資本金と年間売上高が大きくなるにつれBCP策定済み企業の割合は増え、資本金10億円以上で半数以上、年間売上高では100億円以上で半数以上の企業がBCPを策定している。
現在の自社のBCP(策定済み・策定中・策定予定あり)において、どのようなリスクを想定するかを尋ねたところ(複数回答)、「地震(主として直下型地震)」(73.5%)が最も多く、次いで「地震(東海・東南海・南海連動地震等の超広域地震)」(62.9%)と「地震以外の自然災害(風水害等)」(48.8%)となっており、自然災害を想定することが多いとしている。(編集担当:慶尾六郎)