NECがNEXCO西日本にSDNによる基幹ネットワークを構築 道路では世界初

2014年05月09日 09:29

 NEC<6701>は7日、西日本高速道路株式会社(NEXCO西日本)において、SDN(Software-Defined Networking)を活用した基幹ネットワークを構築したと発表した。道路業界において、SDNを用いた最先端ネットワーク基盤の構築は、世界初となる。

 NEXCO西日本は、交通管制システムや社内業務システムなど多様なシステムを有している。これまでシステムごとに専用のネットワークを構築・運用していたため、ネットワーク構成が複雑になり、障害復旧に時間を要していた。また、巨大災害発生時に道路管制事業を継続する強いネットワーク作りも必要となっている。

 今回、NEXCO西日本管内の45拠点に、SDNを実現する技術の1つであるOpenFlowに世界で初めて対応したNEC製品「UNIVERGE(ユニバージュ) PFシリーズ」を導入。OpenFlow v1.3に対応したProgrammableFlow Controller(プログラマブルフロー・コントローラ)4台、ProgrammableFlow Switch(プログラマブルフロー・スイッチ)136台を中核に、新たなネットワークを構成した。

 ProgrammableFlow ControllerのGUIで全体の物理ネットワークと論理ネットワークをそれぞれ可視化し集中制御することで、柔軟なネットワーク制御や利用状況に合わせた迅速なネットワーク変更ができる。また、通信単位(フロー)毎の通信経路やトラフィック量などの通信状態をリアルタイムに把握できるようになり、事前の通信経路制御によってネットワーク上のサービスに影響を与えない運用・メンテナンスや、障害発生時の迅速な復旧作業が可能となる。

 また、物理ネットワークと論理ネットワークを分離し、単一の物理ネットワーク上に複数の仮想テナントネットワーク(VTN)を構成。これにより、IPアドレス体系や通信要件の異なるサービスを個別のVTNに収容し、サービスの独立性やセキュリティを確保したマルチテナントネットワークの構築が可能となる。個別のVTNはそれぞれ独立性を保ち、既存のサービスに影響を与えることなく、追加・削除・変更等の運用・保守が可能。

 さらに、このネットワークは、従来のIPアドレスに依存しない柔軟で高度な経路制御により、各端末設備からの通信を遠隔地の道路管制センターに迅速に切り替え、BCP/DR(Business Continuity Plan/Disaster Recovery)システムの構築を容易にする。

 また、各拠点に配置したスイッチ/コントローラは冗長化され、コントローラはメインセンターと遠隔地のサブセンターでデータの同期を行うため、メインセンター被災時にも、サブセンターからネットワークの全体制御を継続できる。

 今回の導入事例を踏まえ、NECグループは、道路をはじめとした公共ネットワーク基盤へのSDN導入を進める。さらに、災害時の接続継続性が確保された災害対策拠点の構築や路上センサー・車両からの膨大なデータ(ビッグデータ)を収集するM2Mネットワーク基盤への展開も進めていく方針だ。(編集担当:慶尾六郎)。