1年前の3月7日に、「日本一の超高層ビル」という呼び名とともに華々しく開業した大阪市阿倍野区にある複合ビル「あべのハルカス」だが、しかしその話題性とは裏腹に、思うような集客を行うことはできなかったようだ。「あべのハルカス」を運営する近畿日本鉄道<9041>は全面開業より1年経った7日、1年間の来館者数を発表。それによれば来館者数は4273万人であり、目標とした4740万人を下回ったことがわかった。
近畿日本鉄道は、近鉄百貨店あべのハルカス本店を「あべのハルカス」の集客の鍵と位置付けていたが、しかしその百貨店の集客は3583万人であり、目標を約2割下回ることとなった。展望台は目標の1.4倍となる258万人を集めていることから、「いかに百貨店にお客を呼び寄せるか?」が「あべのハルカス」の2年目の課題となりそうだ。
百貨店での集客に苦戦するなか、展望台については予想以上の結果を残している。近畿日本鉄道は展望台の目標来場者数を180万人と設定していたが、これを78万人上回り258万人を集めることとなった。来場者のうち、関西と関西以外の割合はほぼ半々とのこと。また大阪マリオット都ホテルも好調に推移した。目標であった30万人を大きく上回り73万人を集め客室稼働率についても目標通りの80%を達成することができた。ホテルの客の約3割が外国人で、中国や台湾からの訪日客が多いという。
近畿日本鉄道は「あべのハルカス」を全面開業させる前、この「あべのハルカス」を中心に阿倍野地区を大阪市の「キタ」エリアや「ミナミ」エリアに次ぐエリアにしたいとの目標を掲げていたが、しかしいざ全面開業してみると、来館者数は全面開業半年の時点で目標を4%下回っていた。若者向けの売り場や地下の食料品売り場などで苦戦を強いられたことが原因とみられている。
その結果、全面開業半年という早い時点での改装を迫られることとなった。しかしそうしたてこ入れもまだ明確な効果は出せていないようで、最終的に1年間の来館者数は目標の4500万人を下回ることとなった。(編集担当:滝川幸平)