先日、2011年3月11日に発生した東日本大震災から4周年を迎えたばかりだが、あの地震を体験して以来、私たちの中で「地震に対する防災意識」はそれまでとは比べものにならないくらいに大きなものとなった。家を新築する時、また新築マンションを購入する時にまず気になるのが、「大きな地震が起こっても大丈夫か?」という耐震性・免震性だ。家を建てる時、またマンションを購入する時にこの「耐震性・免震性」に重点を置く人の数は、恐らく震災前と後とでは大きく変化していることだろう。
そうしたなか13日、国土交通省は東洋ゴム工業<5105>の子会社が製造・販売した免震装置材料の一部のゴム製部品について、不良品の出荷やデータの偽装があったとの発表を行った。それらの部品は建物の揺れを抑える性能の基準を満たしておらず、不正な申請書を提出して国の認可を受けていたとして、認定の取り消しを行った。
今回発覚した偽装について東洋ゴム工業は、兵庫県の明石工場の製品開発担当者の課長代理が、基準に適合するように試験データを改ざんし、認定を受けていた可能性が高いとしている。
問題となっているゴム製部品は建物の基礎などに使用され、伸縮により地震の揺れを吸収しその揺れを建物に伝わりにくくする。国土交通省によれば、東洋ゴム工業は国の認可を受ける際に製品ごとのばらつきは基準値の誤差10%以内としていたものの、実際には最大でマイナス50%の誤差があり、同社のモデル計算ではこの値だとゴムが1.3倍変形してしまい、地震の揺れを抑えられないとなっている。
そのため、国土交通省は東洋ゴム工業に対して、建物の所有者に説明を行った上で、設計者らとも協力して建物の安全性を調査するように指示。さらにそのほかの製品にも不正はないかなどの確認を行うように求めた。これを受けて東洋ゴム工業は今後1ヶ月間のうちに、建物の安全性の確認を実施し、問題があれば部材を交換するなどの対応をとり、1年以内の改修を目指すとしている。
人々の中で「地震い対する防災意識」が高まっている今だからこそ、こうして不正発覚は企業にとって命取りとなる。信頼を回復するためにも、速やかな調査・報告・改修が求められる。(編集担当:滝川幸平)