経済産業省は3月25日に、初の試みとして、従業員の健康管理を戦略的に実践している「健康経営銘柄」を発表した。労働環境が劣悪なブラック企業が社会的に問題になる中で、従業員への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながるとの考え方を打ち出したものだ。
経産省は、銘柄選定に当り、学識経験者、医療関係者、投資家、金融機関、健康保険組合などによる「基準検討委員会」(座長:森晃爾・産業医科大学教授)を設置し、「健康経営」の評価指標を策定した。その上で、「健康経営が経営理念・方針に位置づけられているか」、「健康経営に取り組むための組織体制が構築されているか」、「健康経営に取り組むための制度があり、施策が実行されているか」、「健康経営の取り組みを評価し、改善に取り組んでいるか」、「法令を遵守しているか」などの観点から評価した。
東京証券取引所と共同で1業種につき1社に絞り込み、アサヒグループホールディングス<2502>、東レ<3402>、花王<4452>、ロート製薬<4527>、東燃ゼネラル石油<5012>、ブリヂストン<5108>、TOTO<5332>、神戸製鋼所<5406>、コニカミノルタ<4902>、川崎重工業<7012>、テルモ<4543>、アシックス<7936>、広島ガス<9535>、東京急行電鉄<9005>、日本航空<9201>、SCSK<9719>、丸紅<8002>、ローソン<2651>、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>、大和証券グループ本社<8601>、第一生命保険<8750>、リンクアンドモチベーション<2170>の22社が選んだ。
例えば、ロート製薬では「まず社員が健康で美しくあってこそ良い商品・サービスが提供できる」との考えに基づいて、2004年に社員の健康増進を専任に行う部署「オールウェル計画推進室」を設立した。また、花王では、社員が健康であってはじめて「よきモノづくり」が実現でき、会社が発展し、社会に貢献できるとの考えのもと、2008年に「花王グループ健康宣言」を発行、様々な取り組みを行っている。
世界的にESG(環境・社会・ガバナンス)投資が重視される中で、日本でも健康経営が投資の指標の一つとして定着していくかもしれない。(編集担当:久保田雄城)