JCBは3月11日、同社海外業務を行うJCBインターナショナルが、ミャンマー初のデビットカードを発行すると発表した。
JCBインターナショナルは、同国中央銀行が主体となって設立した国内決済ネットワーク運営主体であるMyanmar Payment Union(MPU)と、双方のブランドの入ったデビットカード「MPU-JCBカード」を発行する。ミャンマーでは現地の10銀行がデビットカードを発行しているが、国外では使えない。「MPU-JCBカード」は、ミャンマー国内のMPU加盟店と世界のJCB加盟店で利用できる。同国初の国際ブランド付きデビットカードの誕生だ。
JCBは、すでにMPUのメンバー銀行とカード発行に向けた本格協議を進めており、VISAやマスターカードに先駆け、2015年8月を目途にカード発行を開始する見込み。将来的にはクレジットカードの発行も目指している。
ミャンマーは、5000万人以上の人口を抱える有望市場。しかし、欧米企業にとって、経済制裁の対象だったミャンマーは長らく参入困難な国だった。米国が03年5月のアウン・サン・スー・チー氏の拘束を受け、対ミャンマー経済制裁法を制定、07年にはデモに対するミャンマー当局の実力行使を受けて、経済制裁措置を強化したからだ。
11年にテイン・セイン文民政権が発足し、民主化と経済改革が進められたことによって状況は一変した。同年、政府系銀行、民間の大手銀行がメンバーとなり、国内銀行における決済ネットワークの構築や海外カードの受け入れ環境構築など目的にMPUが設立された。
この間、アジアでの加盟店拡大に力を入れるJCBは、1995年からミャンマーでの加盟店網の開拓を開始し、13年7月にMPUとの間で加盟店の開放に向けた契約を締結、ミャンマー全土に加盟店網を拡充してきた。
JCBは国際ブランドとして先行して市場に参入することにより、シェア獲得を目指している。同社は、カンボジアでもカード発行を計画しており、アジアでの同社のカード事業がさらに強化されそうだ。(編集担当:久保田雄城)