TPP合意に必要な大統領貿易促進権限(TPA)に米労組が反対

2015年04月02日 07:13

 環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の日米実務者協議が3月27日に終了した。日米両国は4月下旬の安倍晋三首相の訪米までに閣僚会合を開き、二国間での合意を目指している。しかし、TPP交渉に合意するためには、通商交渉での権限を政府に一任する大統領貿易促進権限(TPA)法案が米議会で成立することが必要とされている。

 ブッシュ政権下の2002年8月にTPA法が成立した。米議会は05年6月にその延長を認めたものの、それ以上の延長は認めず07年7月に失効している。オバマ政権は新たにTPA法案を可決しなければならない状況にある。

 ところが、TPA法案の提出が遅れている。上院財政委員会のハッチ委員長(共和党)は3月22日に、TPA法案の議会への提出は4月中旬以降になるとの見通しを示している。全米最大の米労働総同盟産別会議(AFL・CIO)が反対しているからだ。

 3月2日には、AFL・CIOなど60労組が上下両院議員宛てに書簡を送り、「もしも賃上げ、雇用増、米国の労働者の機会拡大を支持するならば、TPAに反対せねばならない」と訴えた。AFL・CIOは、3月11日には「政治活動委員会を通じたすべての献金を凍結する」と発表し、法案に賛成しようとしている連邦議会議員に強い圧力をかけている。AFL・CIOから支援を受けている連邦議員にとっては、この圧力は強力だ。3月中旬の時点で、すでに民主党の下院議員188人のうち142人が、TPA反対を訴えるオバマ大統領宛て書簡に署名済みとも報じられている。

 AFL・CIOは、TPP自体に反対しているのだ。AFL・CIOのツルムカ委員長は「TPPはグローバル企業の海外投資を容易にするだけだ。貿易赤字は増え、賃金低下を招く」と主張している。それは、過去の貿易協定の教訓に学んでいるからだ。AFL・CIAは、1994年発効の北米自由貿易協定(NAFTA)によって、米国の対メキシコ貿易収支が赤字になり、これまでに約70万人の雇用が失われた主張している。 TPA法案が成立しなければ、TPPは空中分解する可能性もある。(編集担当:久保田雄城)