ヤマト運輸が高齢者向けリコール事業へ進出 秋田県湯沢市と連携

2015年05月09日 17:44

 2013年10月の内閣府の発表によると、高齢化率(総人口に占める65歳以上人口の割合)は過去最高の25.1%(前年24.1%)となり、今後も上昇傾向にある。各自治体は高齢者に対する様々な取組みを行っているが、財源の悪化や人材不足などの影響で、充実したサービスを提供することが難しい現状だ。

 一方、市場ではリコール製品による事故が後を絶たず、年間約1,000件発生している重大製品事故のうち、約1割にあたる100件以上が未回収や未修理のリコール製品が原因という状況だという。これに対し、2013年には消費者庁・経済産業省がリコール情報の周知に向けた取組強化を発表し、リコール実施中に重大事故が発生した全ての企業に通達を出し、対象企業は、テレビや新聞などで回収を呼びかけています。しかしながら、特に高齢者宅には、リコール製品の情報が届きにくいと言われている。

 これを受け、ヤマト運輸が高齢者向けリコール事業に進出する。秋田県湯沢市と、ヤマトホールディングス傘下のヤマト運輸、ヤマトマルチメンテナンスソリューションズ(YMM)は、「高齢者の見守り支援」と「高齢者世帯向けリコール製品回収の取り組み」に関する連携協定を締結した。

 2013からヤマト運輸とYMMではリコール実施企業と連携し、リコール製品を高齢者に確実に知らせるためのサービスを試験的に行ってきた。今回、その実績を踏まえ、湯沢市と協定を結び、高齢者向け住民サービスの一環として、高齢者世帯への「見守り」と「リコール製品回収の取り組み」を組み合わせたサービスの提供を開始する。

 まず、配達時の見守りサービスとして、配達先の高齢者が長期間不在にしている場合や体調不良があった場合に自治体に報告する。また、リコール製品の回収支援サービスとして、リコール製品の情報を、自治体の配布物として高齢者の自宅に宅急便で届ける。もし、リコール製品が見つかった場合には、迅速に商品の回収を行う。

 一方、サービスを受ける高齢者側では、リコール製品の情報を、対面で受け取ることができる。自宅から対象製品が見つかった場合、記載のコールセンターに電話するだけで、迅速に回収されるというメリットがある。また、インターネット・TVなどでは情報が届きにくい高齢者にリコール製品の情報を対面で渡すことで、回収を促進できる。さらに、自治体側は、高齢者の長期不在や体調不良などの情報を素早く手に入れることが可能となり、市の職員や民生児童委員などが直接訪問することで、高齢者の異変に速やかに対応できる。

 湯沢市とヤマトグループでは、この協定の締結を皮切りに、高齢者を対象にした、「見守り支援」と「リコール製品回収支援」を継続的に実施する。また今後は、他の自治体とも同様に協定締結を行い、リコール実施企業に参加してもらうことで、「情報が届かない」ことによる重大製品事故の発生を防止する取り組みを進めるとしている。(編集担当:慶尾六郎)