【今週の展望】落ち着いて2万円チャレンジの週になるか?

2015年05月17日 20:42

 21~22日には日銀の金融政策決定会合がある。前回の4月30日はだいぶ前から国会議員まで加勢して「追加緩和がある」という見方が勝手に盛り上がり、フタを開ければその「贈り物」がなかったために勝手に失望されて日経平均が下落したが、今回は前回ほど期待感が高くない。それでも金融や不動産のような金利敏感セクターには「日銀会合前の妙な株価上昇」が再び現れ、前週は決算を控えて低迷していた銀行株には追い風になりそうだ。15日大引け後に1000億円の自社株買いを発表した三菱UFJ<8306>が引っ張ってくれるだろう。銀行株がTOPIX、日経平均を下支えしてくれれば、安心して2万円にチャレンジできる。

 また、18日の月曜日は「野村日本企業価値向上オープン」(野村アセットマネジメント)という大型の日本株投資信託の新規設定日。4月に募集すると「爆買い」されて3週間で販売が一時停止になり、1700億円以上の資金を集めた「日本企業価値向上ファンド」のオープン投信版で、追加型なので運用を開始する設定日以降も資金の流入が続く可能性がある。前週もその組入銘柄になりそうな銘柄には買いが入っていた。これも今週のマーケット環境を明るくしそうな要素である。

一方、暗くするかもしれないのが20日発表の1~3月期のGDP速報値で、14日に日本経済研究センターが発表した「ESPフォーキャスト調査」によると、民間エコノミスト約40人による予測平均値は+1.84%で、2四半期連続のプラス予測でも4月調査の+2.26%から下方修正された。当日、これより悪い数字が出れば株価を冷やしかねないが、悪ければ悪いで日銀会合への期待がかえって高まるという解釈もできる。21日には2年前の「5.23暴落」の引き金を引いた中国のHSBCのPMIが発表されるが、中国人民銀行が金融緩和を繰り返したので景況感は好転しているかもしれない。

 予測できる範囲でも今週はそうしたプラス要素、マイナス要素があり、ギリシャ情勢、海外の金利、為替、原油先物価格などは先行きどうなるかわからない。それでも条件が揃えば、前週よりも落ち着いて、腰を据えて上値を追っていけるはずだ。

 日経平均の15日終値19732.92円のテクニカル・ポジションを確認しておくと、前週はタッチできそうでなかなかタッチできなかった25日移動平均線が19778円で上に控え、下には19662円の5日移動平均線がある。この「ねじれる線と線の間」のポジションは前週末から変わらない。75日移動平均線は「雲」にくるまりながら19004円まで上昇し、200日移動平均線は17310円にある。

 ボリンジャーバンドでは25日線-1σの19554円と+1σの20002円の間のニュートラル・ゾーンにあり、上にも下にも振れやすいポジション。日足一目均衡表の「雲」は18503~19264円に横たわり、前週も日経平均は雲にタッチしなかった。今週はその上限が19379円まで上昇し、3月SQ値の19225円だけでなく5月SQ値の19270円も雲の中に取り込んで、下値サポートになる。

 オシレーター系指標を確認すると、25日移動平均乖離率は-0.23%、25日騰落レシオは101.82、RSI(相対力指数)は46.0、RCI(順位相関指数)は-25.2、サイコロジカルラインは58.3、ストキャスティクスは55.16で、全て「買われすぎ」でも「売られすぎ」でもないニュートラル。ここまで「ど真ん中」なのも珍しい。となると今週の上値、下値はボリンジャーバンドの「-1σ~+1σ」そのままで19554~20002円としても良さそうだが、緊縮財政のガマンが嫌いな「ヘラスの子ら」がゴネ続けてギリシャ問題に引っかき回される可能性も考慮して、下値はもう少し下まで考えたほうがいいかもしれない。上値はもちろん、2万円タッチである。

 ということで、今週の日経平均終値の変動レンジは19500円~20000円とみる。移動平均線にしても「雲」にしても、下値支持ラインが上昇してくると、ビリヤードの玉が突かれるように何かをきっかけにポンと上昇することがある。前週まで上値抵抗線だった25日移動平均線を超える高値圏が何日も続けば、今度は25日線が下値支持線に変身して、次のステージに入っていける。(編集担当:寺尾淳)