14日に経営再建中であるシャープ<6753>の2015年3月期の連結決算が発表された。それによれば、前期の決算では最終利益は115億円の黒字であったのだが、一転して2223億円の赤字に転落したことがわかった。三重県亀山市にある液晶の主力拠点である亀山工場などの設備の減損処理、また太陽電池の原料関連の市場悪化による評価損などを計上したことが、今回の大幅赤字の主な原因とみられている。この結果を受けてシャープは、主力取引銀行からの資本支援、また国内で3500人規模のリストラを行うなどの再建策を実施するとしている。
シャープの15年3月期の決算は、売上高が前期比4.8%ダウンの2兆7862億円、本業のもうけを示す営業損益は前期が1085億円の黒字に対して480億円の赤字、最終利益も前期の115億円の黒字から一転して2223億円の赤字であり、2期ぶりの赤字となった。シャープは2月の時点で最終利益を300億円の赤字と予想していたが、今回発表された結果はこの予想を大きく上回るものであった。
この結果を受けてシャープは、同日に経営を再建させるための中期経営計画を発表。その内容は、主力取引銀行であるみずほ銀行と三菱UFJ銀行からそれぞれ1000億円ずつ(計2000億円)の優先株出資を受けて借入金の返済にまわすほか、投資ファンドのジャパン・インダストリアル・ソリューションからも250億円の出資を受けて、成長事業への投資にあてるという。
さらにシャープ本社と主要国内連結子会社を対象に、3500人規模のリストラを実施する予定で、募集期間は7月下旬までで、退職日は9月30日を予定している。そのほか、大阪市内にある本社ビルを売却する、社内を5つの主要事業「コンシューマーエレクトロニクス」「エネルギーソリューション」「ビジネスソリューション」「電子デバイス」「ディスプレイデバイス」に分社化し、迅速かつわかりやすい経営を目指すなどの経営再建策を行うとしている。
シャープと同様に経営再建中である電機メーカー大手のソニー<6758>は先月30日に、15年3月期の最終損益は1259億円であったものの、一定水準の構造改革の効果が現れているとして、16年3月期の業績予想では1400億円の黒字を見込んでいる。その一方でシャープも今期では800億円の黒字を目指すとしているが、ソニーと比べて経営再建の面でやや遅れをとった感のあるシャープが、はたして目標とする数字を達成することができるのかはまだまだ未知数である。(編集担当:滝川幸平)