自動車大手がシリコンバレーに集結。熾烈になるIT業界との連携競争

2015年05月22日 07:43

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ホンダは今春、「Honda Silicon Valley Lab(HSVL)」内に、クルマ用アプリ開発スタジオ「ホンダ・デベロッパー・スタジオ」を新設した

 クルマのIT化の進行に対応して、世界の自動車大手がIT企業や人材との連携強化を目指して、米シリコンバレーに集結している。

 米国の自動車大手フォードモーターは1月22日、シリコンバレーの主要都市、パロアルト市にある研究開発施設「シリコンバレーラボ」に、新施設を開設したと発表した。同社は、新施設開設に伴い、今年末までに、研究者、ソフトウエア・エンジニア、データ・サイエンティストなど125人を採用する計画。同社の最高技術責任者ラジ・ナイール氏は、自動車事業においてビッグデータの解析技能を高め、それを事業に反映させると語っている。同社は、ビッグデータのほか、自動運転車やモバイル技術の研究開発を推進する。同社は1月に、アップル出身のドラゴス・マチウカ氏をシリコンバレー拠点の上級技術リーダーとして招いている。

 一方、ホンダ<7267>は今春、「Honda Silicon Valley Lab(HSVL)」内に、クルマ用アプリ開発スタジオ「ホンダ・デベロッパー・スタジオ」を新設した。一般のアプリ開発者が、クルマでの使用に最適化したアプリ開発を行うことを支援するのが目的だ。「ホンダ・デベロッパー・スタジオ」では、一般のアプリ開発者に対して、実際のクルマの画面での見え方、アプリの操作性、オーディオの聞こえ方などを自ら検証できる環境を提供する。

すでに、トヨタ自動車<7203>は12年4月に、シリコンバレーの拠点に新オフィスを設置し、シリコンバレー企業との連携を強めてきた。同社は昨年12月には米カリフォルニア州サンマテオにおいて、「つながる」クルマのアプリ開発イベントを開催している。イベントには、シリコンバレーの起業家、ベンチャー企業、IT企業のプログラマーで構成される20チーム以上が参加した。

 一方、ルノー・日産アライアンスは13年2月、シリコンバレーに「日産総合研究所シリコンバレーオフィス」を開設し、自動運転車両の研究などを推進してきた。

 クルマのIT化は今後さらに加速すると予想されている。米調査会社IHSオートモーティブ主任アナリストのエギル・ジュリウセン氏は、自動車のコストに占めるソフトの比率は25年には35%まで高まる可能性があると指摘している。IT企業・人材との連携、人材の囲い込みをめぐる自動車業界の競争が、ますます熾烈になってきそうだ。(編集担当:久保田雄城)