京都の半導体メーカーであるロームが、業界として初となる600Vの高電圧に対して十分な耐性を持たせたファンモーター用ドライバー「BM620xFSシリーズ」を開発、4月からサンプル出荷を開始した。同製品は高効率でコンパクト、かつ豊富なラインアップが自慢だ。
現在、世界の電力の半数近くがモーターを駆動するエネルギーとして消費されているというなかで、新興国でもエアコンが急速に普及し始めている。このため2020年以降に世界的な電力危機が訪れるという専門家も多い。
日本では家庭用エアコンにおいて、早くからインバーターを搭載して高効率と省エネに対応し、現在国内ではインバーター内蔵エアコンが100%完全普及している。しかし、世界的にみると日本のような市場は稀で、新興国だけでなく欧米でもインバーターを搭載したエアコンなどの家電製品普及率はまだまだ低いとされる。
そのわけは、海外では電圧そのものが高い地域が多く、加えて新興国を中心に電力インフラが不安定な地域が多く安定した電圧の電力供給が行なわれず、精細とも言えるインバーター搭載家電が普及しにくい環境にあった。海外市場では、日本国内で主流である500V耐圧モータードライバーよりも大きな電圧変動に耐え得る高い性能が求められるという。
こうしたなか、ロームはファンモーターの駆動力が必要なエアコンをはじめとする白モノ家電製品でもインバーター化を簡便に、しかも高効率駆動を実現するモータードライバーを開発した。これは、同社が培ってきた実績のある高効率モーターコントローラーと高耐圧パワーデバイスの技術を融合し、扱いやすくワンパッケージ化した製品だ。
当該製品は600V耐圧の信頼性を持つことはもちろん、低電圧保護や電流制限、過電流保護、加熱保護、そして拘束保護などファンモータードライバーに必要とされる保護回路をすべて内蔵し、高い信頼性を確保したという。
ロームはこの「業界最小クラスとなるワンパッケージでインバーター化を実現する」高効率モータードライバーをフルラインアップで生産、5月20日から千葉・幕張メッセで開幕した「Techno-Frontier 2015」で発表・展示した。(編集担当:吉田恒)