不適切会計問題を調査するために、外部の有識者で構成する第三者委員会を設置した東芝<6502>だが、22日、その第三者委員会の調査対象を発表した。それによれば、すでに公表されているインフラ事業以外にもテレビ事業、パソコン事業、半導体事業といった3つの事業にも調査対象を拡大するとの方針を示した。テレビ事業やパソコン事業はここの所赤字が続いており、調査結果しだいではすでに発表されている業績の減額修正がさらに膨らむ可能性もある。
東芝は、インフラ関連の工事でコストを過少に見積もり、本来よりも利益を多く計上するなどの不適切な会計処理がなされた可能性があることを受けて、4月に社内役員らによる特別調査委員会を設置し調査を行っていた。その結果、新型の電力計「スマートメーター」やETCに関する通信システムの整備事業を中心に合計500億円もの不適切会計処理が見つかっている。
そしてその後設置された外部の有識者で構成された第三者委員会では、新たにテレビ、パソコン、半導体の事業でも複雑なコストの見積もり方が見受けられるとして、重点的に調査する方針を固めた。テレビ事業では経費計上に関する会計処理を調査、パソコン事業では部品取引をめぐり、損益の金額や計上する時期が適切であったかどうかを調査、また半導体事業では在庫評価が妥当であったかどうかを調査するとしている。
今回の発表により調査対象として拡大されたこれら3つの事業は、いずれも赤字が続いており、経営上層部から黒字化が求められていた可能性が高いことから、不適切会計が起こりやすい環境にあったとの考え方もある。東芝はすでに今月、去年3月期までの3年間の業績を下方修正するとの見通しを示しているが、今回の第三者委員会による調査により新たな問題が発覚すれば、減額修正がさらに拡大する見通しだ。
この第三者委員会の調査の期間については、検討中とのこと。調査の終了時期のめどが立ち次第、公表するとしている。(編集担当:滝川幸平)