企業にとって「決算」というものは、いわば学生における「成績表」のようなものである。その企業がいかに業績を拡大させたか、そして今後その企業がどういう成長を遂げるのか、そうしたことをはかるために欠かせないものである。だからこそ、その内容は適切に作成されなければいけない。
しかし8日、電機メーカー大手の東芝<6502>は一部のインフラ工事にて不適切な会計処理が見つかったことを受けて、2015年3月期の決算の発表を延期するとともに、同期の業績予想を取り消し、未定に変更するとの発表を行った。東芝は、これまで不適切な会計処理の事実関係を調査していたが、調査を進めるうちに確認されていなかった問題の存在も明らかとなったため、外部の有識者で構成する第三者委員会を設置すると発表。その結果しだいでは、13年度以前の決算内容を訂正する可能性もある。15年3月期の決算発表は6月以降になる見込みで、株式総会の開催日も決定しだい公表するとしている。
東芝は4月3日、14年3月期に計上したインフラ工事にて不適切な会計処理が見つかったと発表。その後、社内の特別調査委員会を設置して調査を行っており、1ヶ月をめどに結論を出す予定であったが、一部の工事で原価を過少に見積もった可能性があることがわかったため、今後は社外に外部の有識者で構成する第三者委員会によると調査に切り替え、会計処理の適切性や原因の究明、再発防止の提言などを委託する。第三者委員会のメンバーは現在選定中で、決定しだい公表されるとのこと。
15年3月期で東芝は連結営業利益を3300億円と過去最高を更新、純利益も前期比2.4倍の1200億円と見込んでいたが、今回の問題を受けてそれらを取り下げる。さらに調査結果の内容によっては、過去の決算内容の修正に至る可能性もある。
東芝のような大企業がこうして決算発表を延期するのは異例のことであり、同社の過去の業績に対する信頼も揺らぎかねない。速やかな原因究明と再発防止策の提示が求められている。(編集担当:滝川幸平)