スターバックスは、楽曲配信大手のスポティファイと提携する。この提携により、スポティファイは全米約7000あるスターバックス店舗に音楽を提供する。まず米国でスタートし、順次カナダやイギリスにも広げていく。
2006年にスウェーデンで誕生したスポティファイは、現在58カ国に配信されており、アクティブユーザーは6000万人を超えるとされている。毎月会員料(米国では約10ドル)を支払えば、音楽をパソコン・携帯から無制限に聴くことができる。会員は1500万人を抱えている。同社は5月20日には、動画やポッドキャストを配信するサービスを米国、英国、ドイツ、スウェーデンで新たに開始している。
一方、スターバックスは米国ではロイヤリティプログラムとして「My Starbucks Rewards」を提供している。これはスタバが進めるデジタル戦略の一歩で、スターバックスカードかスターバックスのモバイルアプリで商品の支払いをするたびに、1スターのポイントを貯めることができるしくみだ。獲得したスターの数によってステータスが上がり、「お誕生日にドリンク無料」「コーヒーのおかわりが無料」といったサービスを受けられる。
今回の提携によって、「My Starbucks Rewards」登録会員は、スポティファイのサービスをスターバックス店内で自由に楽しむことができるようになる。スターバックスの従業員には、有料でスポティファイのプレミアカウントが提供され、店内のBGMを自由に視聴、選曲することが可能になる。
一方で、スポティファイユーザーはスポティファイのサービスを利用することでスターバックスのスターを入手できるようになる。
スポティファイは、これまでも認知度拡大を目指して有名企業と提携してきていた。14年11月にはタクシー配車サービス「ウーバー(Uber)」との提携し、「スポティファイ・プレミアム」のユーザーがウーバーを利用する際、車内のスピーカーから自分の好きな音楽を選曲できるようにした。
今回の提携は、スタバにとってはシュルツCEOが進めるデジタル戦略の一環と理解されている。今年1月に同社は、IT業界のベテラン、ケビン・ジョンソン氏をCOOに起用し、デジタル化戦略を推進する体制を整えつつある。
ネットショッピング分野をはじめ、スタバのデジタル展開が広がるにつれ、スポティファイとの提携効果もさらに拡大してくるのかもしれない。(編集担当:久保田雄城)