気象観測システム「アメダス」が処理システムを刷新 高性能サーバを搭載で集信頻度が10倍に

2015年05月28日 07:46

 富士通<6702>は19日、気象庁の地域気象観測システム(アメダス)の処理システムを刷新したと発表した。

 気象庁の地域気象観測システムである「Automated Meteorological Data Acquisition System」は「アメダス」という通称で親しまれている。このシステムは、24時間365日、全国約1,300カ所のアメダス観測所や気象台、測候所などから、降水量、風向・風速、気温、日照などの気象観測データを収集し、その品質チェックや統計値の計算などを行うシステムである。

 処理された気象観測データは、また、「Automatic Data Editing and Switching System」、「アデス」という通称で呼ばれている気象情報伝送処理システムを経由して気象官署に配信され、特別警報・警報・注意報、天気予報など国民の防災や生活に密着した気象情報の発表に活用される。

 今回の刷新では、「アメダス」の気象観測データの集信頻度と品質向上を実現するため、富士通の高性能プロセッサ搭載のUNIXサーバ「SPARC M10-1」などの最新機器へ更新し、集信頻度が従来の10分ごとから1分ごとになった。これにより、きめ細かい気象状況の変化を把握できるため、より精度の高い気象情報の提供が可能となる。

 また、富士通は、2007年より「アメダス」のシステム構築と運用支援を担っており、気象観測に携わる職員のニーズや要望、気象観測業務ノウハウを蓄積してきたという。今回の刷新では、監視端末をより使いやすくするため、それらを基に、約200カ所のGUIを改良した。視覚的に次の操作を推測しやすくすることで誤操作を防止し、少ない操作で業務を遂行できるユーザーインターフェースとなった。

 例えば、被災時にバックアップ系システムへ切り替える作業の場合、従来は4回の画面切り替えが必要だったが、新システムでは、1画面の操作で業務が完了する。ユーザーインターフェースの向上が、業務継続性の向上にもつながるとしている。(編集担当:慶尾六郎)