三菱商事と日立製作所は5月18日、ミャンマー国鉄に鉄道信号システムを供給する契約を締結したと発表した。契約金額は約24億円。
導入される区間は、ミャンマーの旧首都であったヤンゴンとマンダレーを結ぶ主要鉄道幹線の一部で、ヤンゴン中央駅からピュンタザ駅までの約140キロメートルの区間。
両社が供給するのは、列車の在線位置情報を指令所で一元的に把握するための列車中央監視装置や列車を安全に運行するための信号灯や分岐器を制御する電子連動装置、列車の接近により自動的に警報を作動させる踏切自動警報装置など。2017年6月に設備の納入を完了する予定。プロジェクトには独立行政法人国際協力機構(JICA)の無償資金協力による資金が供与される。
ミャンマーでは、鉄道の老朽化が進んでおり、輸送サービスの質と安全性の向上が大きな課題となっている。三菱商事と日立は両社の技術力を結集した設備を供給することにより、ミャンマーの鉄道輸送における安全性の向上と近代化に貢献する。
これまで三菱商事はアジアや中東地域で車両・鉄道関連設備の供給を数多く手がけてきた。一方、日立は車両システムから信号システムまで鉄道向けのソリューションを一括提供できる体制を整えている。日立は鉄道の信号・車両事業強化を進めており、2月にはイタリアのフィンメカニカ社傘下のアンサルドブレダ社とアンサルドSTS社を買収することで合意している。アンサルドブレダ社は鉄道業界で150年の歴史を持ち、世界各国の主要プロジェクトで実績がある。アンサルドSTS社は貨物・旅客・地上鉄道や地下鉄向けの信号装置や制御システムの設計、実装、管理において高い技術力を持っている。
ミャンマーでは、ヤンゴン環状線の近代化、ヤンゴン~マンダレー路線の全区間の近代化なども計画されている。三菱商事と日立は、今回の受注を皮切りに、ミャンマーの鉄道近代化をさらに広範に支援していくことになるかもしれない。(編集担当:久保田雄城)