主婦の再就職、ハードルは「家庭との両立」に加え、「スキルと意欲不足」も重視すべき

2015年04月29日 18:32

 政府は「女性の活躍推進」に力を入れ、育児などで離職した女性の再雇用を進めている。現状では、働く女性の約6割が第1子の出産をきっかけに離職しており(平成25年版男女共同参画白書)離職した女性が再雇用される際は、派遣やパートなどの非正規雇用が中心だ。背景には、多くの企業が男性中心的な長時間労働を求める中、家事・育児を担うことの多い女性にとって、「家庭との両立は難しい」と感じられてしまうこと、さらに「正社員で働きたい」と願っても、まず仕事が決まらなければ保育園に入所できない、など様々な問題がある。

 中でも「家庭と仕事の両立」は、女性の再雇用を阻む大きな壁だ。大妻女子大学の井上俊也教授らが、かつて就業経験はあるが現在は働いていない人に、その理由を聞いたところ、1位は「家事や子育て、介護など、働くことを阻害する環境があるから」で、47.8%を占めた。調査は井上教授らが、NTTコム・オンラインと共同で実施。NTTコムリサーチの会員モニターのうち、首都圏に住む35~55歳の、かつて就業経験はあるが現在は働いていない女性(小学生以上の子供がいる、もしくは子供がいない人)を対象にウェブアンケートを行なった。有効回答数は1794。

 「現在働いていない理由」の1位は「家事や子育て、介護関連」で半数を占めたが、2位以下は「働く意欲が十分ではないから(23.2%)」、「働くために必要なスキルが備わっていない(16.8%)」など、意欲やスキル不足を挙げる回答も目立った。スキル不足を理由に働いていない女性に対して、「働くために欠けていると思うスキル」を聞くと、「パソコン使用能力(62.8%)」「語学力(話す聞く42.2%)(読み書き37.9%)」などの“テクニカル系スキル”が欠けているという回答が多かった。「今後働くために有用と思われ、学んでみたいスキル」を尋ねた結果でも、トップは「パソコン使用能力」(51.8%)で、不足意識と学習意欲がともに高い。その反面、「学んでみたいスキルは特にない」という層も21.3%いるのが興味深い。一度、離職した女性の再就職にあたっては、家事育児や介護などの「環境的な阻害要因」がある一方、「スキル不足」や「働く意欲が十分でない」という点も、十分に勘案しなければならないだろう。(編集担当:北条かや)