中国のイスラエル企業への投資が活発になっている。
1月には中国の電子商取引最大手のアリババが、QRコード技術に特化したイスラエル企業ビジュアリードに出資した。さらに同社は、3月にはイスラエルのベンチャーキャピタル「エルサレム・ベンチャー・パートナーズ(JVP)」に投資した。
5月には中国食品大手・光明食品集団がイスラエル最大の食品会社ツヌバ・フード・インダストリーズの買収を決めた。光明食品は、乳製品、砂糖、キャンディ、農産品、野菜などを生産しており、ここ数年、ニュージーランドの乳製品メーカーのシンレイ・ミルク社など多くの会社を買収してきた。
イスラエル国内のほか、米国や欧州、中東で事業展開するツヌバ社は、85年の歴史を持っており、食品の生産や販売、小売を行っている。製品は乳製品、冷凍野菜、家禽類、卵類、肉製品、お菓子など。乳製品のシェアはイスラエル市場で70%以上を占めている。
近年、イスラエルと中国の経済関係は急速に強化されている。イスラエル政府のイノベーション政策を牽引するチーフサイエンティストオフィスを介して設立された中国企業とイスラエル企業のジョイントベンチャー数は、2013年に国別で世界一になっている。
イスラエルの対中貿易額は14年には10年のほぼ2倍の110億ドルに達し。イスラエルの経済省によると、大型買収に加え、比較的小規模の企業にも中国の投資は向かっており、ハイテク、農業科学技術、治水関連への投資が目立つという。
中国は、06年に胡錦濤前国家主席が「イノベーション型国家」の建設を提唱して以降、情報・バイオ・素材・宇宙・省エネなどの産業の技術力向上を国家戦略として掲げてきた。
こうした戦略を推進する上で、イスラエル企業が持つ技術力は中国企業にとって極めて魅力的なものとなっている。中国企業は、イスラエルの水処理や農業など1次産業における技術力にも注目しているとされる。
今後さらに、中国によるイスラエル企業への投資が拡大しそうだ。(編集担当:久保田雄城)