女性向け育毛剤市場が成長。男性用と何が違う?

2015年06月13日 18:23

 人間誰しも年をとる。とはいえ、いくつになっても若々しく見られたいというのは当然の願望だ。近年はアンチエイジングという造語も流行し、スキンケアやヘルスケアの分野ではすっかり定着している。そしてそれは、ヘアケアの分野にも波及し始めている。

 エイジングケアというと、どうしても肌の方に注目が集まり、シミやしわ、たるみなどの対策ばかりが取りざたされるが、女性の見た目年齢を左右するものはそれだけではない。とくに40代以降の女性を中心に関心が高まっているのが、薄毛に対する悩みだ。

 抜け毛や薄毛は男性の悩みのように思われがちだが、実はそうではない。通信販売や業務用流通の活況を背景に市場は拡大基調で推移しており、その主な要因として、アンチエイジングを意識した女性向けの育毛商品が伸びていることが考えられる。富士経済の調べでは、2004年は60億円だった女性用スカルプケアの市場規模が、2013年には169億円、2014年には178億円にまで大きく成長を遂げている。

 しかし、同じ育毛剤でも男性用と女性用に使い分ける必要性があるのだろうか。実は女性の薄毛の原因は男性のそれとは少し異なる。とくに40代以降の女性を悩ませている薄毛の多くは、女性ホルモンの1つである「エストロゲン」が大きく関わっている。このエストロゲンは毛髪を発達させるホルモンで、毛髪の成長期を持続させる働きがあるのだが、28歳ごろが分泌のピークといわれており、その後は年齢を重ねるごとに減少してしまう。これにより、髪が細くなったり、毛穴から出る髪の本数が減ったり、全体的にボリューム感が失われていく。それに対し、男性の薄毛は男性ホルモン「テストステロン」の影響が大きいといわれている。テストステロンの働きによって、太く長い毛が細く短い毛に置き換わる軟毛化が進むことが、多くの男性の薄毛の正体である。つまり、男性と女性では同じ薄毛でも原因が異なるのだ。

 これを受け、メーカー各社も数年前から徐々に女性向けの育毛剤の開発に力を入れ始めている。例えば、1980年代から育毛研究を開始して、男性向けの「毛髪力」や女性向け「フサージュ」などの育毛剤でしられるライオン<4912>は、同社初の通販限定ヘアケア商品として「フルリア薬用育毛エッセンス」を発売している。フルリアには発毛促進と脱毛予防に効く6-ベンジルアミノプリンのほか、ピロクトンオラミンなど、他社製品ではあまりみかけない独自成分が配合されており、まさに30年の育毛研究の集大成ともいえる商品となっている。また、口コミなどで人気を得ているのが三省製薬の「デルメッド」だ。同商品はまさに女性ホルモンの減少に着目した育毛剤で、毛母細胞に活力を与え、ヘアサイクルを正しく整えることでハリとコシのある髪を育成するほか、コエンザイムQ10などの美容成分も含む総合的な頭皮スキンケア商品となっている。

 また、興味深い商品としては、ローヤルゼリーやプロポリスなど、様々なミツバチ産品の製造販売でしられる山田養蜂場が発売している「薬用RJ地肌ケアエッセンス」がある。同商品はローヤルゼリーを配合した育毛剤で頭皮環境の改善を目的に開発されたものだが、同社が行った試験によると、「薬用RJ地肌ケアエッセンス」を12ヶ月間継続使用することで、地肌が目立ちにくくなり、使用から6ヶ月後よりもさらに毛髪本数が増加する傾向があることが実証された。被験者は30~60歳の女性23名と少人数ながら、前頭部の画像撮影、フォトトリコグラムによる毛髪本数の計測などの結果で、91%以上の被験者に改善効果が確認されている。

 たとえ歳をとっていても、髪が活き活きとしていると、それだけで美しく、若々しく見える。今も昔も、髪は女性の命。肌のエイジングケアも大事だが、美しく年をとるために、ぜひ、髪のエイジングケアにも気を配りたいものだ。(編集担当:石井絢子)