ウィッグと聞くと、最近では若い子がオシャレでつけているものと思ってしまうが、ここでいうウィッグは、主に薄毛や脱毛に悩む人のために開発されたものを指す、いわゆるカツラのことだ。
このウィッグには、美容向けのものと、医療向けのものとがあり、今回、カツラメーカー大手のアデランス<8170>から、衛生面に配慮した、医療向けオーダーメイド・ウィッグの新商品「ラフラ」が発売される。この「ラフラ」は、「やさしい商品」「やさしい接客」「やさしい環境」の3つのやさしさを守りながら、回復までサポートしてくれるというもの。医療向けのウィッグは、主に抗がん剤投与、放射線照射、円形脱毛症、外傷、やけどなどが原因で脱毛して患者に向けてのみ販売されている。
医療向けのため、柔らかさ、フィット感、違和感のないつけ心地などを考え、さらに地肌と直接触れる裏地ネットに、保湿性に優れたシルクプロテイン(セリシン)を付与した快適素材フレシールを採用している。またウィッグで初めて、制菌加工を取得した裏地ネットを採用し、黄色ぶどう球菌や、感染性の高い肺炎カン菌の繊維上での増殖を抑制。それに人毛より速乾性がある人口毛髪を使うことで、お湯で洗うことができ、汚れも落ちやすく常に清潔に保つこともできる。
日本人の死亡原因に占める割合がもっとも多いのが“がん”だ。その治療の一つとして抗がん剤があるのだが、脱毛という副作用がどうしても出てくる。脱毛による精神的ストレスを緩和する意味でもウィッグは有効となる。特に、女性の“がん”で最も多いのが“乳がん”で、抗がん剤治療による脱毛が一番起こりやすいとも言われている。アデランスの調べによると、乳がん患者のうち、64.5%もが脱毛症状を訴えており、さらに81.3%もの患者が実際にウィッグを着用している。女性にとって髪の毛を失うというのは、耐え難いもので、ウィッグは今や必須アイテムとなっている。
購入する際には、健康保険の適用にはならないものの、美容向けのウィッグに比べて2割程度安く購入でき、価格は30万円+税(18歳未満は21万円+税)となる。がん治療には、肉体にも精神にもダメージが強いだけに、医療向けウィッグが心のケアを少しでも緩和してくれることを期待したい。(編集担当:鈴木博之)