東京海上ホールディングス<8766>は10日、アメリカの保険会社HCCインシュアランス・ホールディングス を買収すると発表。買収額は約75億3000万ドル(約9413億円)とのことで、保険業界の企業による外国企業の買収額としては過去最大のものとなる。同社によればHCCインシュアランス・ホールディングスの株式すべてを買い取り、年内にも手続き完了を目指す。日本市場が縮小傾向にあるなか、海外企業を買収することで海外保険事業の規模や収益の拡大をはかると共に、地域や事業リスクを分散したい考えだ。
今回東京海上ホールディングスが買収を発表したHCCインシュアランス・ホールディングスは、本国アメリカ以外にも英国やスペインなどで事業を展開しており、農業や航空分野など一般的な保険では対象にならない特定リスクを対象とする「スペシャルティ保険」に特化している。
東京海上ホールディングスによれば、同社はHCCインシュアランス・ホールディングスの発行済み株式をすべて買い取ることで同意。買取価格は1株あたり78ドル(約9750円)となっており、過去1ヶ月の平均株価と比較して35.8%と高水準となっている。東京海上ホールディングスがアメリカに特別目的会社を設立し、年内にも手続きを完了させる予定だ。
国内の損害保険業界は、人口減少などのよう要因により縮小傾向にあるため、各社ともにアジア地域や欧米などの地域での事業拡大や急務となっている。今回の東京海上ホールディングスの買収も海外事業を強化する狙いがあり、同社は海外保険事業の規模や収益を拡大することで、グループとしてグルーバルな成長のための機会としたいとしている。
これまでにも東京海上ホールディングスは、英国のキルン社やアメリカのフィラデルシア社、デルファイ社などを買収したほか、東南アジア地域や中南米地域で生損保事業を展開してきた。今回の買収により同社のグループ利益に占める海外保険事業の割合は、38%から46%に拡大することとなる。(編集担当:滝川幸平)