アンチエイジングに新たな光。コラーゲン線維の増強等に貢献する素材を発見

2015年06月20日 19:12

ロート201506181

ロート株式会社は16日、脂肪由来間葉系幹細胞がコラーゲン線維を形成することを確認し、さらにその幹細胞の遊走・増殖能を促進させる素材を発見したことを発表した。

 ロート製薬株式会社<4527>は2015年6月16日、脂肪由来間葉系幹細胞がコラーゲン線維を形成することを確認し、さらにその幹細胞の遊走・増殖能を促進させる素材を発見したことを発表した。本研究結果は今後、アンチエイジング製品開発に応用することで、加齢等で弱ったコラーゲン線維の増強などが期待できるという。

 同社では2006年5月より、京都府木津川市に研究拠点「ロートリサーチビレッジ京都」を置いて、「再生美容」や「機能性素材の探索」をテーマにした研究を行っているが、その中で、自己複製能と様々な細胞に分化する能力を持つ特殊な細胞「幹細胞(Stem Cell)」がアンチエイジングに応用できるという考えのもと、再生医療の事業化を見据えた研究を行い、その効果と有用性を追求してきた。

 「脂肪由来幹細胞」とは、幹細胞の中でも脂肪の中にあるもののことで、「間葉系幹細胞」とは骨や軟骨、脂肪などの間葉系に属する細胞への分化能を持ち、修復部位に遊走して、そこで組織修復等を行うことが知られている細胞をさす。従来から脂肪由来間葉系幹細胞にはコラーゲンを生成する能力があることが知られていたが、ロートでは今回、より具体的に皮膚での働きについての研究を行い、大きな3つの成果を上げた。

 その1つめは「脂肪由来間葉系幹細胞はコラーゲン線維を形成する」ということだ。コラーゲンは産生されたのち線維化することが重要で、通常、コラーゲン線維は真皮層で線維芽細胞から生成され、肌のハリや弾力を生み出すことがしられている。ところが今回、ロートの研究所で線維芽細胞及び脂肪由来間葉系幹細胞を4週間線維形成条件にて培養し、コラーゲン線維を免疫染色法により染色し確認したところ、脂肪由来間葉系幹細胞においても線維芽細胞同様、コラーゲン線維を形成することが明らかになった。

 2つめの成果としては、カプロオイルテトラペプチドー3、トリペプチドー1銅、コラーゲンの3種類の素材を組み合わせた「ステムSコンプレックス」が、濃度依存的に脂肪由来間葉系幹細胞の遊走を促進することが発見された。さらに3つめの成果として、その「ステムSコンプレックス」には脂肪由来間葉系幹細胞の増殖も促進する効果があることも明らかになった。

 「ステムSコンプレックス」はロートの商標だが、これがアンチエイジング化粧品に実用化されれば、コラーゲン線維を形成する脂肪由来間葉系幹細胞への関心は否応なしに高まるだろう。コラーゲン市場に新しい風が吹きそうだ。(編集担当:藤原伊織)