エステサロン市場が市場を拡大している。矢野経済研究所によると、14年度のエステティックサロン市場規模(事業者売上高ベース)は3611億円で、前年度比101.6%の見込み。ここ数年は前年度割れが続いていたが、13年度から引き続き拡大傾向に戻っている。分野別では、美顔、痩身・ボディ、メンズエステ、物販については、消費税増税の影響が長引く一方、「ミュゼプラチナム」や「銀座カラー」「脱毛ラボ」など、脱毛に特化した低価格サロンが急速に事業を拡大しているため、全体としては拡大基調となった。
近年、売上高が急増しているのは、低価格を武器に「安全性」や「信頼性」も巧みにアピールする脱毛特化型のサロンチェーンだ。ジンコーポレーションやエム・シーネットワークスジャパン、セドナエンタープライズなどの低価格サロンチェーン経営企業が、急速に台頭している。若い女性に人気のタレントを広告に起用し、低価格の料金設定を打ち出し、多店舗展開を進めているのが特徴だ。さらに「無理な勧誘や販売はしない」「誰でも気軽に通える」と積極的にアピールし、女性たちの支持を獲得。「低価格脱毛サロン」各社の業績は、大きく伸びている。
一方、日本は高齢化社会に突入しており、日本人の平均年齢は40歳代。人口のボリュームゾーンの1つである団塊ジュニア世代が40代に突入したことに加え、団塊世代が60代後半を迎えていることから、アンチエイジング効果をうたったエステや化粧品・サプリメントなどの物販も好調だ。
今後は海外展開を強化するサロンも増えるだろう。すでにソシエ・ワールドやミス・パリ・グループ、ジンコーポレーション、スリムビューティハウスなどが海外出店を進めている。経済発展の著しい中国や東南アジアでは、日本の美容サービスに対する評価が高い。日本の「おもてなし」や技術に対する評価も高まっていることから、今後はアジアを中心に、海外展開を強化するエステサロン経営企業が増えていく可能性もある。こうした背景から、矢野経済研究所では、今後のエステティックサロン市場を「横這いから微増傾向」と予測している。(編集担当:北条かや)