皮細胞の糖化がシミの発生に関係する可能性が解明

2015年02月14日 19:36

 美肌を望む多くの女性たちにとって朗報となりそうな研究結果が、ロート製薬株式会社<4527>から発表された。

 ロート製薬といえば、目薬市場におけるOTC医薬品のトップメーカー。しかし、近年はとくに肌ケアに関心の高い20代後半から50代の女性に注目されるスキンケアブランドとして、コスメ市場でもシェアを拡大している。「肌研」(ハダラボ)シリーズをはじめ、糀の天然成分に着目した「糀肌」シリーズなど、ヒット商品も多い。

 スキンケア分野躍進の原動力となっているのは、2006年に同社の研究開発の中核基地として京都府木津川市に開設された「ロートリサーチビレッジ京都」だ。ロート製薬はここで「再生美容」を重点研究テーマに掲げ、基礎研究や素材開発等を行ってきた。世界で初めて整肌成分PQQ(ピロロキノリキンキノン)を美容液に配合して話題となった「エピステームCデュアルエナジー」なども、この研究所で開発されたものだ。

 そして今回、同研究所で行われていた「肌の糖化に関する研究」において、表皮細胞の糖化がシミの発生に関係する可能性を解明。糖化した角層ではメラニン生成を引き起こすサイトカインが増えることを確認した。糖化とは、たんぱく質に糖が結合する現象のことで、血管で糖化が発生すると、毛細血管障害が起こる。また、肌の真皮ではコラーゲンの糖化により線維が固くなり、肌のハリや弾力の低下を引き起こすなど、肌老化の原因の一つになると考えられている。

 これまで、紫外線がサイトカインを増加させることがシミの原因になることは知られていたが、今回の研究結果によって、細胞の糖化もシミの発生に関与する可能性が初めて示唆された。つまり、糖化を防ぐことができれば、肌の透明感やハリ・弾力、保湿維持のみならず、シミの予防にもつながる可能性が高いというわけだ。ロート製薬では今後、この知見を抗糖化スキンケア商品の開発に応用していくという。

 高齢化社会を迎えるにあたり、中高年をターゲットにしたアンチエイジングのスキンケア市場は成長分野だ。ロート製薬だけでなく、昨年12月にはマヨネーズなどの販売で知られる食品メーカー・キユーピー?2809?が化粧水などの新ブランド「キユートピア」を立ちあげて参入を表明するなど、スキンケア市場には今、新しい風が吹き始めている。既存の化粧品メーカーもうかうかしてはいられない。(編集担当:石井絢子)