かつては街中どこにでも設置してあった公衆電話。今ではすっかりみなくなった。NTTによると、その数のピークは1985年度末の90万9570台だという。しかし、総務省によると2012年度末には21万448台にまで減少している。ところが、この公衆電話というコンセプトをタブレットによって復活させようという試みがある。
NTT東日本は、公共の場所や飲食店などにおいて、誰でもインターネットが利用できる「サービス(「公衆かんたんタブレット」(仮称))の技術検証などのトライアルを実施すると発表した。このトライアルで、新潟県長岡市と山形県山形市の一部地域において、約3カ月間、NTT東日本が提供するNFCによる個人認証(ログイン)機能を備えたタブレット端末をご提供し、セキュアかつ簡易に利用できる認証機能などに関する技術検証を行う。NTT東日本は「公衆かんたんタブレット」のサービス化などだけでははく、「地方創生」を目指した取り組みを進めていく方針だ。
このトライアルが狙うものは、商店街やカフェ、公民館といった日頃地域の方々が多く集まる場所に、NFC対応ICカードなどをかざすことで個人認証(ログイン)が可能なタブレット端末を、インターネットに馴染みのない方々の生活動線上に設置する。そして、セキュアかつ簡易に利用できる認証機能に関する技術検証、シンプルでわかりやすい画面デザインに関する評価・検証および地方創生への効果検証などのトライアルを行うことである。
トライアルで、個人認証機能により一時的に専用端末化したタブレット端末のポータル画面上に、(1)自治体からのお知らせ、(2)商店街からのお知らせ、(3)交通機関運行状況、(4)地図、(5)ニュース、(6)天気予報、(7)TV番組表、(8)雑誌読み放題、(9)写真アルバム、(10)メール、(11)検索、(12)個人のご要望に基づいたコンテンツ(旅行予約など)、といった公衆電話以上の機能を用意する。
現時点で実施が決定している地域は、新潟県長岡市大手通2-2-6 ながおか市民センター1階の「タニタカフェ」:6月24日~9月30日と山形県山形市七日町の七日町商店街の7店舗:7月14日~2015年9月30日の2カ所である。
今後は、認証機能の有効性や商用時の課題など、トライアルで得られた結果をもとに、戦後の固定電話の普及過程において自宅以外の場所で電話を利用できる仕組みとして広がった特殊簡易公衆電話(ピンク電話)に倣い、「公衆かんたんタブレット」のサービス化を目指す。(編集担当:慶尾六郎)